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CIMB(シーアイエムビー)完全解説:創業100周年の銀行が「次の100年」に向けて仕掛けた大改革の全貌

イントロダクション

創業100年の節目に問う―次の100年への挑戦

2024年、CIMBは創業から丸100年という歴史的な節目を迎えました。マレーシアで口座を開設する外国人にとって、Maybank(メイバンク)の次に目にする機会が多いのがCIMBです。ATMの緑色のロゴ、PJやKLのモールに必ずある支店、そしてOctoアプリ―。しかし創業100年の銀行が、その記念すべき年に何を達成し、「次の100年」に向けて何を仕掛けているのかを知る人は多くありません。

2024年度統合報告書から読み解くCIMBの実像とは。純利益RM77.3億の記録的成長、世界No.1の評価を受けたサステナビリティ戦略、そして「Forward23+」から「Forward30」へのバトンタッチ―。マレーシア在住の日本人に必要な視点から徹底的に分析します。

CIMBとは何か:100年の歴史と「ASEAN特化型銀行」という戦略

100年の資産とASEANの未来を築く力

CIMBの前身は1924年創立の「Bian Chiang Bank」に遡ります。マレーシアの銀行業界に100年の歴史を刻んできた同グループは今日、「Leading Focused ASEAN Bank(主要ASEAN特化型銀行)」を戦略的ポジショニングとして掲げ、マレーシア・インドネシア・シンガポール・タイ・カンボジア・フィリピン・ベトナムの7カ国で展開する地域の主要金融グループへと成長しています。

2024年末時点の主要プロフィールは次の通りです。総資産RM755.1億(約26兆円)、580以上の小売支店と6,100以上の自動サービスATM端末、世界10カ国に展開する33,000人以上の従業員、28百万人の顧客、Touch 'n Goを含むデジタル資産。さらに2024年のイスラム金融における権威ある「The Banker's Islamic Bank of the Year」を受賞するなど、伝統と革新を兼ね備えた金融機関です。

2024年度業績:純利益RM77.3億、5年計画の有終の美

100年の信頼と持続可能な未来へと

2024年度、CIMBは純利益RM77.3億(前年比+10.7%)を達成しました。税引前利益(PBT)は過去最高のRM104.0億(+9.0%)、純営業収益はRM223.0億(+6.1%)と好調に推移。これは5年間にわたる「Forward23+」戦略計画の最終年として、ほぼすべての目標を達成した結果です。

特筆すべきは、2019年比でROE(株主資本利益率)を8.5%から11.2%へと大幅改善した点です。この改善はポートフォリオの再構成、コスト最適化、そして資産品質の総合的な向上によって実現されました。配当面でも記録的な総配当支払い額RM50.4億(1株47.0セン)を達成し、配当利回りは約5.3%となっています。主要財務指標は次の通りです。純利益RM77.3億(+10.7%)、1株当たり利益(EPS)72.3セン、ROE 11.2%、CET1自己資本比率14.6%(前年14.5%)、不良債権比率(GIL)2.1%(前年2.7%から改善)、コスト収益率(CIR)46.7%(前年46.9%から改善)。

デジタル戦略の中核:Octoアプリとリアルタイム国際送金

CIMBのデジタル戦略の顔は「Octoアプリ」です。2024年の消費者デジタルバンキング(GCDB)部門では、7市場全体の顧客基盤が前年比9.7%増加。Octoアプリへの登録顧客数は前年比+5.5%と着実に伸び、マレーシア国内では旧来の「CIMB Clicks」アプリからOctoへの全顧客移行も完了しました。

日本人が注目すべきは、CIMBの「国際送金の手軽さ」です。CIMBのOctoアプリはASEAN域内でのリアルタイム送金に対応しており、マレーシアからシンガポール・タイ・インドネシア等への仕送りや送金ニーズに応えることができます。また、CIMBフィリピンは2024年に2期連続の黒字化を達成しており、同グループのASEAN全域展開がデジタルを軸に着実に進んでいることを示しています。さらにTNG Digital(Touch 'n Goのデジタル事業)は2,900万人以上の登録ユーザーと160万か所以上の加盟店を抱え、マレーシア最大のeウォレットエコシステムとしてCIMBのデジタル影響力を大きく拡張しています。

世界No.1のサステナビリティ:金融機関として初の快挙

2024年のCIMBを語るうえで外せないのが、サステナビリティ分野における世界的な評価です。World Benchmarking Alliance 2025 Financial System Benchmarkにおいて、CIMBは金融機関部門で世界第1位を獲得しました。さらにS&P Global Corporate Sustainability Assessment(CSA)でも「トップ・クォータイル」の評価を当初の計画より3年前倒しで達成するという快挙を成し遂げています。

2024年だけでグリーン・ソーシャル・サステナブル分野に関連する金融商品・サービスをRM310億以上動員し、累計でも膨大な環境関連融資実績を積み上げています。マレーシアで初めてSME向け「ESG Simplified Playbook(ESG簡易実践ガイド)」を公開するなど、企業の持続可能な経営への移行支援でも業界をリードしています。

イスラム金融の「世界的リーダー」:ASEANで最も強固なフランチャイズ

CIMBは「世界をリードするイスラム金融機関」を自称しており、これを裏付ける実績が2024年も積み重ねられました。グループ・イスラム銀行部門(CIMB Islamic)の地域イスラム融資残高はRM1,556億(前年比+8.6%)、地域イスラム預金残高はRM1,565億(+4.0%)に達しました。

権威ある賞も相次ぎました。「The Banker's Islamic Bank of the Year 2024」「IFN Best Islamic Bank 2024」「The Asset Triple A Islamic Finance Awards - Best Islamic Investment Bank, Asia-Pacific」など、業界で最も権威ある賞を総なめにした形です。日本人がCIMBで不動産購入やビジネス融資を検討する際、イスラム金融商品の存在を念頭に置くことで、選択肢とネゴシエーション力が広がります。

マレーシア在住日本人のためのCIMB活用ポイント

MaybankとCIMBはよく比較されますが、それぞれ異なる強みを持っています。CIMBを選ぶ理由として日本人が評価するポイントを整理します。

  • Touch 'n GoとのシームレスなeWallet連携:高速道路ETC・コンビニ・モール・屋台での支払いをカバーするTNGとCIMB口座のリンクで、日常生活がより便利になります。
  • ASEAN7カ国での口座・ATM共有:ASEAN域内出張・旅行が多いビジネスパーソンにとって、1つの口座で7カ国をカバーできる利便性は大きなメリットです。
  • 法人・SMEサービスの充実:マレーシアでビジネスを立ち上げる日本人起業家にとって、CIMBの法人口座・SMEローン・トレードファイナンスは実践的な選択肢です。
  • 世界トップレベルのサステナビリティ評価:ESG投資や社会的責任を重視する方にとって、世界No.1評価を受けた金融機関との取引は、価値観を共有できるパートナーシップとなります。
  • 英語での金融サービス対応:国際展開を重視するCIMBは、Preferred(富裕層向け)やプロフェッショナル向けサービスにおいて英語対応が充実しており、外国人にとって使いやすい環境が整っています。

「Forward30」という未来への挑戦状

5年間のForward23+を完走したCIMBが2025年から始動させたのが「Forward30」戦略です。新CEOのNovan Amirudinが掲げるこの6年間の新戦略は、「顧客と社会を前進させる(Advancing Customers and Society)」というパーパスのもと、Capital(資本の最適配分)・Cash(預金基盤の強化)・Cross-sell(収益多様化)・Capabilities(よりシンプル・迅速・良質なサービス)という「4Cs」を戦略的成長レバーとして据えています。リテール・ホールセール・イスラム金融それぞれの強みを束ね、ASEAN全域でトップクォータイルのROEを目指す―これがCIMBの次の章を形作る戦略の核心です。

2024年2月、CIMBはCIMB Securitiesを取得・再起動させ、株式市場事業に本格再参入しました。同年、CIMB Investment Bankはマレーシアの投資銀行部門においてシェア・オブ・ウォレットで国内第1位の地位を奪還。これはCIMBが資本市場でのプレゼンスを再強化するという決意を示したものです。マレーシアの金融市場を長期的な視点から追う日本人投資家にとっても、CIMBの動向は要注目です。

結論

100年の実績が証明する「変化への適応力」

2024年のCIMBは、創業100周年という節目に相応しい業績と戦略転換を見せました。純利益+10.7%、世界No.1のサステナビリティ評価、イスラム金融でのアジア太平洋No.1認定、そしてForward30への平和的なバトンタッチ―これらは単なる数字の羅列ではなく、マレーシアの銀行業界が世界水準で戦えることを証明しています。

マレーシアで生活する日本人にとって、CIMBは単なる「第2の選択肢」ではありません。ASEAN全域でのビジネス・生活基盤、Touch 'n Goを通じた日常決済の利便性、そして世界が認めるサステナビリティへのコミットメント―これらを総合すると、CIMBは日本人の多様なニーズに応える独自の価値を持つ銀行です。

※本稿は、銀行の公式統合報告書をもとに要点を整理したものであり、特定の金融商品の推奨を目的としたものではありません。

・マレーシアの銀行の比較については、マレーシア3大銀行・徹底比較ガイド:最新レポートが明かす「信頼と革新」の正体で詳しく解説しています。


本記事はBridge International Asia Sdn Bhdがマレーシア現地の取材で得た情報をもとに作成しています。 当サイトのコンテンツや記事において、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めていますが、記載内容について必ずしも正確性を保証するものではありません。無断転載は禁止いたします。

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