マレーシア消費者物価指数(CPI)2025年12月版 詳細レポート
マレーシア統計局(DoSM)が2026年1月に発表した最新データによると、2025年12月のマレーシア消費者物価指数(CPI)は前年同月比で1.6%上昇しました。指数値は135.5を記録し、前年同月の133.4から上昇しています。
前月の2025年11月(1.4%)と比較しても、インフレ率はわずかに加速する傾向を見せました。DoSMのDato' Sri Dr. Mohd Uzir Mahidin首席統計官は、この上昇の背景として、多くの支出グループで前月を上回る伸びが確認されたことを挙げています。

1. 主要な支出グループの動向
2025年12月のインフレ率を押し上げた主なグループは以下の通りです:
- 多種多様な商品・サービス:5.7%(前月5.6%)
- 教育:2.8%(前月2.6%)
- アルコール飲料・タバコ:2.5%(前月2.4%)
- 住宅・水・電気・ガス等:0.9%(前月0.7%)
- 情報・通信:0.9%(前月マイナス1.3%からプラス転換)
一方で、レストラン・宿泊サービス(3.1%)、娯楽・スポーツ・文化(0.8%)、輸送(0.1%)の各グループは、前月と比較して緩やかな上昇にとどまりました。また、食品・非アルコール飲料(1.5%)、健康(1.5%)、保険・金融サービス(5.6%)は11月と同じ伸び率を維持しています。
2. 食品および非アルコール飲料の詳細分析
CPI全体の29.8%を占める「食品・非アルコール飲料」グループは1.5%の上昇を記録しました。
外食:
2.7%の上昇(前月2.8%)を記録し、このグループ全体のインフレの主な要因となりました。主要な品目では、菓子類(4.5%増)、ナシ・チャンプル(3.8%増)、ローストポークライス(3.6%増)などが上昇しています。
家庭での食事:
0.3%の上昇となりました。
- 肉類グループは0.7%上昇し、鶏肉(新鮮)の平均価格は1kgあたり10.43リンギット(2024年12月は10.32リンギット)でした。また、豚肉(3.8%増)や輸入牛肉(0.9%増)が上昇に寄与しています。
- 魚介類は2.2%上昇し、イワシ(4.6%増)、マグロ(3.3%増)などが値を上げました。
- 一方で、野菜(マイナス4.2%)、穀物・製品(マイナス0.5%)などは前年比で下落を記録しています。
3. エネルギーと輸送
輸送グループのインフレ率は0.1%となりました。これは原油価格が1バレル当たり62.72ドル(2024年12月は73.83ドル)まで下落したことに伴う燃料価格の動向が影響しています。マレーシア半島部における燃料の平均価格は以下の通りです:
- ディーゼル:1リットル3.03リンギット(2024年12月は2.95リンギット)
- RON97:1リットル3.24リンギット(2024年12月は3.21リンギット)
また、住宅関連では、電力料金に影響する自動燃料調整(AFA)のリベート額が、11月の8.91セン/kWhから12月は6.42セン/kWhへ変更されたことが、平均的な電気代の変動に寄与しました。
4. コアインフレ率と構成品目の傾向
生鮮食品や政府管理価格を除いたコアインフレ率は、12月に2.3%が価格上昇を記録しています。そのうち、10%を超える大幅な上昇を見せたのは10項目のみでした。大幅な上昇を示した品目には、金装飾品(41.4%増)、レモン(17.1%増)、配管設置(15.0%増)などがあります。
5. 地域・属性別の動向
州別インフレ率:
全国平均(1.6%)を上回る上昇を記録したのは、ジョホール州(2.3%)、ネグリ・スンビラン州(2.2%)、パハン州(1.8%)、ラブアン(1.8%)、セランゴール州(1.7%)の5州・地域でした。最も低いのはケランタン州(0.5%)でした。
都市と地方:
都市部は1.6%、地方は1.3%の上昇となりました。
所得層別:
月収3,000リンギット未満の世帯のインフレ率は1.1%を記録しました。
6. 2025年通年の振り返りと世界比較
2025年通年のヘッドラインインフレ率は1.4%となり、2024年の1.8%と比較して落ち着いた推移となりました。また、他国との比較では、マレーシア(1.6%)のインフレ率は、インドネシア(2.9%)、韓国(2.3%)、フィリピン(1.8%)よりも低く、中国(0.8%)やユーロ圏(2.0%)といった主要経済圏と比較しても安定した水準を保っています。
マレーシア統計局は、2010年を基準年(2010=100)として継続的に指数の算出を行っており、2024年1月からは2022年の家計支出調査に基づく新しい加重が適用されています。
まとめ
2025年12月のマレーシア消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.6%上昇し、前月からわずかに加速しましたが、全体としては依然として安定したインフレ水準を維持していることが確認されました。特に、多種多様な商品・サービスや教育分野がインフレを牽引する一方で、食品や輸送分野の上昇は限定的であり、生活必需品価格の急激な上昇は見られませんでした。
また、原油価格の下落を背景としたエネルギー・輸送価格の抑制や、野菜・穀物類の価格低下が、全体のインフレ圧力を和らげる要因となりました。州別では地域間で上昇率に差が見られ、特にジョホール州を中心に一部地域で相対的に高いインフレ率が観測されましたが、全国平均としては大きな偏りは確認されませんでした。
さらに、2025年通年のインフレ率は1.4%と前年を下回っており、近隣諸国と比較しても低い水準にとどまっています。このことから、マレーシアの物価動向は国際的に見ても比較的安定していると言えます。今後は、エネルギー価格の変動や政府の価格調整政策がインフレ動向に与える影響を注視しつつ、家計への実質的な負担の変化を継続的に分析していくことが重要です。
本記事はBridge International Asia Sdn Bhdがマレーシア現地の取材で得た情報をもとに作成しています。
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