マレーシア市場調査詳細

マレーシア国内旅行の意外な真実:2025年第4四半期データが明かす「今」の旅のカタチ

導入:マレーシア人は今、どこへ向かっているのか?

2025年の締めくくり、マレーシア国内の移動はかつてないほどの熱気に包まれています。マレーシア統計局(DOSM)が発表した最新の「Stats Bulletin」によると、2025年第4四半期の国内訪問者数はなんと7,400万人。前年同期比で10.8%増という力強い伸びを記録しました。

この数字は、単なる連休の盛り上がりを超えた、国民のライフスタイルにおける「移動」の優先順位の変化を物語っています。注目すべきは人数の多さだけではありません。数字の裏側に隠された、マレーシア人の嗜好や消費行動の変化――そこにある「意外な真実」を、データと共に紐解いていきます。

【ポイント1】「量」より「質」へ——観光支出が示す消費意識の変化

今回のデータで見逃せないのは、訪問者数の伸び(前年同期比+10.8%)を上回るペースで、観光支出額も成長しているという点です。

DOSMの発表によれば、2025年第4四半期の国内観光支出は326億リンギット。前年同期(Q4 2024)と比較すると前年同期比(YoY)で12.4%増、前四半期(Q3 2025)からは前四半期比(QoQ)で9.1%増という結果です。

訪問者数より支出の伸び率が高いということは、1人あたりの旅における消費額が増えていることを意味します。マレーシア人が「安く済ませる旅」ではなく、質の高い体験や充実した滞在に積極的にお金を使うようになっている証拠と言えるでしょう。

この傾向を裏付けるように、宿泊を伴う「国内観光客(Domestic Tourists)」も前年同期比10.1%増の2,720万人と着実に増加。日帰りではなく「泊まる旅」が定着していることが、1回あたりの支出額を押し上げる大きな要因となっています。

【ポイント2】山岳リゾートが「ほぼ満室」——稼働率89%という突出した数字

目的地別のデータを見ると、ある傾向が際立っています。ロケーション別の客室稼働率(DOSMのQSS調査)を比較すると、山岳リゾート(Hill)の数字が他を大きく引き離しているのです。

  • 山岳(Hill):89.0%(前四半期87.5%からさらに上昇)
  • 都市(Town):64.3%
  • ビーチ(Beach):61.1%

山岳リゾートと都市部の差は24.7ポイント。90%に迫る稼働率は「ほぼ満室」といっても過言ではなく、需給バランスが崩れ始めているサインとも読み取れます。

背景にあるのは、熱帯の暑さを避けて涼しい山の上でゆっくり過ごしたいという需要の高まりです。「マウンテン・リトリート」と呼ばれるこのスタイルは、もはや一部の旅好きだけのものではなく、現代マレーシア人の旅の定番となりつつあります。

【ポイント3】「3つ星」と「低価格宿」が稼働率トップ——賢い消費者の宿選び

宿泊施設の選び方にも、興味深い変化が現れています。星別の稼働率(DOSM・QSS調査)を見ると、必ずしも「高級=人気」ではないことがわかります。

  • 3つ星:70.0%(全カテゴリ中トップ)
  • 5つ星:69.0%
  • 4つ星:62.8%
  • その他(2つ星以下・シャレー・モーテル・星なし):62.4%

特に注目したいのが「その他」カテゴリの急伸です。前年同期(Q4 2024)の53.2%から62.4%へと、わずか1年で約9ポイントも上昇しました。

この背景には「節約」だけではない理由があります。宿泊費を合理的に抑えながら、浮いた予算を食事・観光・アクティビティといった「体験」に回す——そんなバランス重視の旅スタイルが、マレーシア人の間で広がっていると考えられます。3つ星が5つ星をわずかに上回ってトップを維持している点も、コスパを重視する現代的な消費観をよく表しています。

【ポイント4】テーマパーク離れと移動需要の拡大——「施設」より「旅そのもの」へ

今回の統計で唯一マイナスを記録したのが「テーマパーク」です。

  • テーマパーク利用:前年同期比(YoY)-4.2%、前四半期比(QoQ)-3.3%

一方、移動に関わる指標は力強い伸びを見せています。

  • 空港国内線到着数:前年同期比+17.9%(出典:マレーシア交通省)
  • 自動車燃料の小売販売:前年同期比+7.1%(出典:DOSM卸売・小売統計)
  • 宿泊施設全体:前年同期比+14.7%

テーマパークが苦戦する一方で、飛行機・車での移動と宿泊需要が伸びているという対比は示唆的です。人々の関心が、決まった場所で過ごすレジャーから、各地を移動しながら楽しむ「プロセスとしての旅」へとシフトしている可能性を示しています。特定の施設やハブに依存しない、より自由で能動的な旅の時代が到来しているのかもしれません。

まとめ:2025年が示すマレーシア国内旅行の成熟

DOSMの統計によると、2025年の国内観光市場は年間を通じて訪問者数2億9,010万人、支出総額1,210億リンギットと、過去最大規模の活況を呈しました。

今回のデータが浮き彫りにしたのは、「量から質へ」「施設から移動へ」「高級から賢い選択へ」という3つのシフトです。とりわけ山岳リゾートの稼働率89%という数字は、2026年以降の新たなリゾート開発や投資を促すシグナルになるかもしれません。またロードトリップ需要の拡大は、地方インフラの整備を加速させる可能性も秘めています。

データが示すのは、マレーシアの旅行市場が「成熟期」に入り、消費者がより賢く、より自分らしい旅のスタイルを追求するようになったという事実です。このトレンドの先に、どんな新しいマレーシアの魅力が生まれるのか——引き続き注目していきたいと思います。


本記事はBridge International Asia Sdn Bhdがマレーシア現地の取材で得た情報をもとに作成しています。
当サイトのコンテンツや記事において、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めていますが、記載内容について必ずしも正確性を保証するものではありません。無断転載は禁止いたします。

マレーシア国内旅行の意外な真実:2025年第4四半期データが明かす「今」の旅のカタチ

マレーシア市場調査サービスはBridge International Asia Sdn Bhdへ

2014年から10年以上に渡って、マレーシアに深く根差して、現地情報やネットワークを積み上げてきたBridge International Asia Sdn Bhdは、大手企業や公的法人、日本政府の組織などからご依頼をいただいた豊富な調査実績があります。以下のお問い合わせフォームもしくはBridge International Asia Sdn Bhdのマレーシア市場調査サービスからお問い合わせください。
 

マレーシア進出、市場調査などについてのお問い合わせ

市場調査を依頼

マレーシアの市場調査を依頼する

マレーシアに密着したBridge International Asia Sdn Bhdの現地コンサルタントにマレーシアの市場調査を依頼することができます。
 

マレーシアの市場調査 

メンバー登録について

情報提供サービス

メンバー(登録無料)がご利用いただけるサービスです。
 
  • ビジネスニュース配信
  • 市場調査レポート配信
  • メルマガ配信
  • ウェビナー開催
  • 専門家をご紹介

 
 

営業代行サービス

マレーシアで新規顧客、キーマンへのアプローチをサポートいたします。
営業代行サービス
 

事業サポートサービス

マレーシアの事業を推進するための専門的なサービスをご提供いたします。
 
 

日系企業データベース

マレーシア日系企業の情報を検索できる日系企業データベース
企業データベースへの登録および更新は企業リスト入力フォームからご依頼ください。
 

マレーシア進出 はじめの一歩ガイドブック

マレーシアに進出される企業向けのガイドブック(17ページ構成)
今すぐPDFファイルをダウンロード

   

サイト運営会社

『CONNECTION』は
Bridge International Asia Sdn Bhdが運営しています。

Bridge International Asia Sdn Bhdは日本とマレーシアの架け橋となり、貴社の東南アジアでのビジネス展開をご支援いたします。

  • ビジネスコンサルティング事業
  • デジタルマーケティング事業
  • インサイドセールス事業
  • システムソリューション事業

マレーシア進出やIT導入のご相談はこちらまでお問い合わせください。