マレーシア|積み立て年金制度、「EPF」とは

マレーシア|積み立て年金制度、「EPF」とは

EPF(Employees Provident Fund)とは、マレーシアの従業員積立基金制度のことです。

1991年発効された従業員積立基金法により、事業者と従業員がEPFに毎月拠出して積み立て、55歳、またはそれ以降に本人が仕事を退職した時には積み立てた金額の上に運用益が加算されて払い戻されることになっています。

マレーシア国民または永住者である従業員にはEPFの納付が義務付けられています。 マレーシア国民または永住者以外の外国人労働者は、EPFに納付することを選択できます。 (外国人労働者は納付する義務はありません。)労働者の雇用主による標準的な納付率は、収入に応じて事業者は12%または13%、従業員は11%です。
 
 

従業員積立基金制度(EPF) の仕組み

民間被用者を主な対象とする退職給付制度(従業員積立基金: EPF)と、公務員を対象とする年金制度があります。自営業者や主婦、外国人労働者等については EPFへの加入が任意となっており、日本のような国民皆年金の仕組みにはなっていません。
 
  • 従業員積立基金制度(EPF) の概要
    • 根拠法:従業員積立基金法(Employees Provident Fund ACT 1991)
    • 運営主体:マレーシア財務省所管のKWSP基金
    • 非保険者資格:民間使用者・被用者。自営業者、公務員、主婦、外国人労働者等も任意で加入可
    • 支給開始年齢:55歳
    • 最低加入条件:積立基金制度のため明確な規定はない

EPFの運用について

EPF は、積立方式による拠出建て制度です。積立金の運用益は非課税で、積立金の運用利回りには、2.5%の最低保障利率が付与されています。
拠出された資金は 「連邦統合基金(Federal Consolidated Fund)」として政府予算全体の中で、他の予算 と一緒に財務省により管理がなされています。
従業員積立基金制度(EPF) なお、EPFは途中で転職した場合でも EPF番号が転職先に引き継がれ、積立資産が引き継がれます。

EPFの保険料

  • 60歳未満、月収5000リンギ未満の場合 事業者:月収の13%、被雇用者:月収の11%
  • 60歳未満、月収5000リンギ超の場合   事業者:月収の12%、被雇用者:月収の11%
  • 60歳以上、月収5000リンギ未満の場合   事業者:月収の6.5%、被雇用者:5.5%
  • 自営業者等の場合  政府:拠出額の5%相当額(年間最大60リンギ)、本人:任意の額(50 リンギ~)
  • 外国人労働者の場合   事業者:月額5リンギ、被雇用者:月収の11%
いずれの場合も、被用者本人が定められた額以上を拠出することが可能。使用者拠出は税控除の対象(給与総額の19%相当まで)であり、 また被用者はEPF拠出と生命保険料とを併せた最大6,000リンギま でが税控除の対象になる。

EPFの引き出し申請

  • マレーシア人の場合、支給開始年齢(もしくは繰り上げ制度による年齢)、特定の事情の場合に限り、それよりも早い年齢にて引き出すことが可能です。 拠出された積立金に運用益を加算した金額が一括または毎月均等払いで支払われます。
  • 日本人を含む外国人は赴任が終了する場合など本帰国する際、「KWSP」に書類を提出することで積み立てた全額を引き出すことができます。

景気刺激策としてEPFの個人負担を軽減

2020年2月27日、マレーシア政府はコロナ禍に対する景気刺激策として経済対策パッケージを打ち出しました。 それにより、2020年4月1日から2020年12月31日までの60歳以下の方のEPFの個人負担割合について、これまで給与の11%となっておりましたが、7%へと減額されることになりました。

KUALA LUMPUR, 27 February 2020: The Employees Provident Fund (EPF) takes note of the Government’s decision on the reduced minimum statutory contribution rate for employees, from 11 per cent to seven (7) per cent as announced today. The new rate will be effective starting 1 April 2020 until the end of the year and affects members below age 60. For those aged 60 and above, the employees’ share of the contribution rate will remain at zero per cent. The move to reduce the statutory contribution rate is part of the Government’s economic stimulus package intended to cushion the blow from the economic fallout following the global COVID-19 outbreak. Employers are required to ensure the correct amount is deducted from their employees’ wage/salaries based on the Third Schedule, Akta KWSP 1991.

EPFの発表内容
 

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本記事はBridge International Asia Sdn Bhdがマレーシア現地の取材で得た情報をもとに作成しています。
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