マレーシアのドローン産業は、Drone Readiness Index（DRI）において、昨年の30位から21位にランクアップし、飛躍的に上昇した。また、同指標における東南アジアの国の中ではトップランクに位置している。

DRIでは、同国のドローンに対する中核的な準備態勢が29ポイント改善され、前年の31%から60%に達した。

マレーシアは、1年間でドローンの準備態勢をほぼ倍増させた。「DRIにおける我々の成果は、マレーシア・ドローン技術行動計画2022-2030（MDTAP30）および複数の機関や関係者による強力な協力を伴うその他の取り組みの初期の成果です」とマレーシア技術革新研究加速器（MRANTI）のCEO、Dzuleira Abu Bakarは語った。

また、マレーシア民間航空局（CAAM）、マレーシア消防救助局（BOMBA）、国家災害救援管理庁（NADMA）、測量地図局（JUPEM）、マレーシア宇宙局（MYSA）などからの支援に感謝を述べた。

Dzuleiraは、MDTAP30の主要ミッションは、国家無人交通管理（UTM）システムの開発、デジタルドローン登録ポータル、主要分野でのドローン特別使用例の採用、リモートパイロット訓練機関（RPTO）の認定などの人材育成に重点を置くと述べた。

MDTAP30は、昨年、イスマイル・サブリ前首相が発表したものだ。彼は、マレーシアのドローン産業は、国内総生産（GDP）に114億5200万米ドル（507億1000万リンギ）の成長をもたらす可能性があり、2030年までに10万人の雇用機会を創出することが可能であると述べた。

Drone Industry Insights（DII）が毎年発行する「Drone Regulation Report」の一部であるDRIアップデートでは、参加国を「適用性」「運用範囲」「人的資源」「行政インフラ」「認証」「空域統合」の6つのパラメーターで評価している。

レポートでは、ドローンの準備態勢が最も強く向上した国は、英国、ブラジル、スイス、台湾、日本、韓国、マレーシア、中国であることが示された。

マレーシアは、適用性、人材、認証で100％の評価を得ており、運用範囲（準備度50％）、空域統合（準備度40％）、管理インフラ（準備度25％）に改善すべき点があるとしている。

 

ドローン産業を後押しするCOEとして「Area57」を整備 

MDTAP30の調整機関であり事務局であるMRANTIは、2021年にマレーシアのドローン産業を後押しするための拠点「Area57」の設立に着手した。完成すれば、6エーカーのArea57には、設計・シミュレーション、プロトタイプ開発・製造、サービス・メンテナンスワークショップ、トレーニング、試験・認証設備などの施設が設置される予定だ。

マレーシアのドローン産業の成長を加速させるため、科学技術革新省（MOSTI）は、国家技術革新サンドボックス（NTIS）も設立している。
 

NTISによる商業化のための資金調達、規制支援、市場開拓のサポート

NTISは、実環境での技術開発とテストに重点を置いている。NTISを通じて、企業は商業化のための資金調達、規制支援、市場開拓の支援を受けることができる。このような観点から、25のドローン技術アプリケーションが、さまざまなサンドボックス構想でのテストに承認されている。

このうち、NTISは2020年から2022年にかけて、マレーシアのドローン企業19社に約220万米ドル（1,000万リンギット）の資金を提供した。これらのドローン企業は、農業、医療配送、インフラ、セキュリティ監視など、様々な分野に対してソリューションを提供している。これらのサンドボックスでは、散布、マッピング、植物分析、倉庫管理など、さまざまな用途でドローンのテストが行われている。

NTISは、テクノロジー大手、コングロマリット、多国籍企業を含む50のイノベーション・アクセラレーター・ネットワーク（IAN）パートナーから強力な支援を受け、マレーシアのドローン産業の発展を後押ししている。

同じくDIIによる「ドローンサービスプロバイダーランキング2022」では、マレーシアのAerodyne GroupとMeraqueが世界のトップ20にランクインした。1位のAerodyneは、1,000人以上の従業員を擁し、資金調達ラウンドで6,000万米ドル以上を集めている。