マレーシアで法人設立する方法

2024年版 マレーシアで会社設立(法人設立・起業)まとめ

2024年、建設ラッシュが続くクアラルンプール市内

2024年、サービス業の企業進出が増える傾向

2024年クアラルンプールでは、街のあちこちで都市開発が行われていて、建設ラッシュが続いています。
順調な経済成長のもと東南アジアのハブ拠点としても注目を集めており、日系企業の進出も続いています。

2022年1月には東南アジア初の「ららぽーと」が開業。2023年11月には国際金融地区「Tun Razak Exchange (TRX/トゥン・ラザク・エクスチェンジ)、2024年1月にはMerdeka 118(ムルデカ118)が開業するなど巨大な開発事業が次々と開業を迎えています。これに伴い、従来は製造業や建設業などの進出が多かったマレーシアですが、最近ではサービス業の進出が伸びている傾向があります。

それでは、マレーシアでの会社設立についてご説明いたします。
 

マレーシアにおける会社形態のまとめ

 新会社法において認められている会社の形態は、以下の3つがあります。

①現地法人
②外国法人の支店
③駐在員事務所
 
<ポイント Q&A>
質問
:3つの形態のうち、どの形態が一般的に用いられますか?
回答:ライセンスの取得ができ、税制上の優遇措置を受けられることもあるため、①の現地法人が進出形態としてよく用いられます。

また、新会社法では、下記3種類の現地法人が定められています。 現地法人とは、マレーシアにおいて新会社法を基に設立された会社を指します。
 
・株式有限責任会社
株式有限責任会社は出資者の責任を所有株式の金額を上限とする会社形態です。これはさらに公開会社(Bhd.)と非公開会社(Sdn. Bhd)に区分されます。
非公開会社は、下記のように定義されています。

・株主数50名以下
・株式の譲渡制限
・株式等の一般公募不可

一方で公開会社は非公開会社以外の株式有限責任会社の形態をとる会社のことを指します。
 
・保証有限責任会社
保証有限責任会社とは出資者の責任を事前に定めた出資保証額内とする会社形態です。新会社法では当該形態の会社のみ定款の作成が明確に義務付けられています。

・無限責任会社
無限責任会社とは出資者の責任に制限を課さない会社形態です。
また、支店・駐在員事務所については下記の通りです。

・外国法人支店
外国法人が事業を行う場合は新会社法に基づき、CCM(Companies Commission of Malaysia)に外国法人支店としての登録を行うことが義務付けられています。
マレーシア政府は現地法人を設立することを奨励しているため、支店設立の認可が降りるかどうかは政府の裁量次第となっています。ただし、一般的に、事業を行うことを目的とした外国法人支店の設立が許可されておりません。

・駐在員事務所
駐在員事務所とはマレーシアでの事業を行う前の市場調査等を目的とした通常設置期間2年の設立形態であり、営業活動は認められていません。
本来、マレーシア政府は現地法人形態での設立を推奨しているため、外国法人支店と同様に、政府の裁量によるところが大きく、駐在員事務所の設立・更新には適切な理由の説明が厳しく求められます。
 

外資規制についてのまとめ

2023年、建設ラッシュが続くクアラルンプール市内。8 Conlay、Merdeka 118(ムルデカ118)筆者撮影

Malaysia International Trade and Exhibition Centre(MITEC)の隣で建設中のNAZA SIGNATURE TOWER。(2023年10月筆者撮影)

 

各業種における出資比率規制を簡単にご紹介いたします。
 
【製造業】
2003年に製造業の外資出資比率規制は撤廃され、原則、100%外資が認められております。

【金融機関】
2013年金融サービス法の施行により外資規制が撤廃されました。
ただし5%以上の株式を取得する場合には、外資・内資にかかわらず、マレーシア中央銀行の事前承認が必要となります。(法的規制はございません。)

【その他流通・サービス業など】
次の業種に関しましては外資参入が禁止されております。
①スーパーマーケット/ミニマーケット(販売フロア面積が3,000平方メートル未満)

⑴販売面積が3,000~5,000平方メートル未満の独立したスーパーマーケット
⇒MDTCCガイドラインでは「スーパーストア」と定義され、同省の規定・条件を満たせば、外国資本100%による参入が認められております。

⑵デパート内に設置されたスーパーマーケットについては、販売面積2,000平方メートル未満に限って、外国資本100%の参入が認められております。

②食料品店/一般販売店
③コンビニエンスストア
⇒外資が入ったコンビニエンスストアに関しましては、2018年12月現在、事前認可を得なければならないとされております。しかし、認可要件の内容については明らかにされておりません。

④新聞販売店、雑貨品の販売店
⑤薬局(伝統的なハーブや漢方薬を取り扱う薬局)
⑥ガソリンスタンド
⑦常設の市場(ウェットマーケット)や歩道店舗
⑧国家戦略的利益に関与する事業
⇒水、エネルギー・電力供給、放送、防衛、保安等に関し、マレーシア政府は、外資出資比率の上限を30%または49%と定めております。
⑨布地屋、レストラン(高級店でない)、ビストロ、宝石店など
その他、ステータスを取得することで、100%外資で会社を設立することが可能となる場合もあります。

上記以外のサービス業に関しましては、基本的に100%外資での設立が可能となります。

業種ごとの所管官庁は、以下の通りです。

  • 製造業:マレーシア投資開発庁(MIDA)
  • 卸・小売業、販売、レストラン、サービス:国内取引・協同組合・消費者庁(MDTCC)
  • 観光業:観光省(Ministry of Tourism Malaysia)
  • 運送業:陸上公共交通委員会(Land Public Transport Commission)税関(Royal Malaysian Customs)
  • 建設業:建設業開発庁(CIDB)  

2020年、モダンなシェアオフィスも増加。初期投資を押させて企業進出が可能に。


会社秘書役(カンパニーセクレタリ)とは? 

会社秘書役の概要
会社秘書役(カンパニーセクレタリ)とは、新会社法により規定されている会社の設立等や各種登記の書類作成、実際の政府手続きの役割を担う担当者であり、企業ごとに会社秘書役を任命し、登記を行う必要があります。

しかし、組織のコンプライアンスを担う重要な役割であるので、どの秘書役に依頼するかによって、組織の管理も大きく変わってきます。注意事項を下記します。

  •  会社秘書役の設置義務

マレーシアのすべての会社には、1人以上の会社秘書役の設置が義務付けられています。

 

  • 会社秘書役の要件

会社秘書役の資格は、マレーシアを主要な居住地とする18歳以上の自然人である必要があります。かつ有資格者であることです。また、会社秘書役協会などの定められた組織の会員か、もしくはマレーシア会社登記局により許可を得ていなければなりません。

 

  • 会社秘書役の選任・解任

会計秘書役の選任・解任は、取締役会の決議によって行われます。


マレーシアの法人設立の手続き

さて、いよいよマレーシアで法人を設立する手順を説明いたします。大まかには以下の手順となります。
  • 会社名の許可申請(ネームサーチ)
  • 設立時の発起人及び取締役の選定
  • 定款の作成
  • 授権資本及び払込資本金の決定
  • 会社設立登記
  • 取締役会決議、所定フォームの届出
  • 銀行口座開設、資本金の送金
  • 発起人の株式譲渡と増資 

法人設立の事前準備について

<ポイント Q&A>
質問
:まずは何から準備を始めればよいのでしょうか?
回答:以下の書類や情報が必要となりますので、事前に準備しておいたほうが効率的です。
 

マレーシアで会社設立する際、実際の作業は国家資格を持つカンパニーセクレタリー(会社秘書役)に依頼することになります。
カンパニーセクレタリーに依頼する際には、通常、以下の書類や情報が必要となりますので、事前に準備しておいたほうが効率的です。

  • 発起人の英語フルネーム およびパスポート写真ページのスキャンコピー
  • ネームサーチ用 法人名候補(〇〇○Sdn. Bhd.) 3つ
  • 居住取締役の居住住所・携帯電話番号
  • 他に取締役がいらっしゃる場合も、フルネーム・パスポートコピー
  • 株主の氏名、持ち分株式数、資本金額(1株=RM1として)、パスポートコピー
  • 株主、取締役の住所が証明できる書類(公共料金の請求書でOK)
  • 営業オフィス住所・電話番号
  • 定款に記載する予定事業(複数ある場合は箇条書きで)
  • クライアントご自身で開設していただく予定銀行名・支店名
  • 銀行支払時のサイン権ルール
  • 事業年度末日

a.会社名の許可申請(ネームサーチ)

マレーシアで設立する会社名について、既に同一の会社名や類似商号が存在しないか調べることをネームサーチと言います。会社名は類似したものも併せて使用/不使用の区別がなされ、表記が少し違うだけで同じ読み方をするものなどは、無効とされる恐れがあります。
また、以前存在していて閉鎖された過去の法人の名前についても、使用が制限される場合があります。
さらに、そもそも会社名としてふさわしくないと理解され、使用が制限される場合がございます。この場合、RM300.00を添えて釈明を行うことで、使用が許可されることがあります。(参考ガイドライン


第一候補が通るとは限りませんので、法人名の候補(〇〇○Sdn. Bhd.) は3つ用意しておきます。

<ポイント Q&A>
質問
:ネームサーチの結果はどのくらいで分かりますか?
回答:申請から1~2日程度で可否の結果が出ます。
 

商号確定から3ヶ月以内に下記の書類をSSM(マレーシア登記局)に提出することになります。
<提出書類>

  • 現地会社定款及び付属定款
  • 秘書役法定宣誓書(Form6)
  • 取締役及び発起人の法定宣誓書(Form48A)
  • 商号認可書(Form13Aのコピー)
  • 英語版親会社の定款(日本で公証・認証済み)

 

会社名の選択は法人設立の第一歩

 

b.設立時の発起人及び取締役の選定

最低1名の取締役(Director)を選任する必要があります。会社の取締役(Director)については、最低1名のマレーシア居住者を選任することが求められています。取締役はマレーシア人である必要はありません。通常は取締役が株主を兼ねることになります。

<ポイント Q&A>
質問
:取締役は1名でいいのでしょうか?
回答:はい。2016年9月に公表されたマレーシアの新会社法が2017年1月31日付で施行されました。旧会社法においては、マレーシア国内に居住する取締役2名が必要 とされていましたが、新会社法は、非公開会社においてこの要件を緩和し、マレーシア国内に居住する取締役が1名いればよいということになりました。
 

c. 定款の作成について

マレーシアでは会社定款は以下の2部構成となり、M&Aと呼ばれます。
①Memorandum of Association(基本定款)
②Articles of Association(通常定款)

 Memorandum of Association(基本定款)の記載事項
  • 社名
  • 登記住所 ※マレーシア国内にある必要がございます。
  • 設立目的 ※会社が不利にならないように事業範囲は広く記載するのが一般的
  • 会社の権限
  • 株主が有限責任をもつこと
  • 授権資本
  • 会社が増資、減資、株式分割などを行う権限を持つこと

 Articles of Association(通常定款)は以下の事項を定める書類です。
  • 株主総会の招集方法
  • 招集時期
  • 会社の内部自治に関する事項についてその細則

例) ・株主譲渡に関する制限
  • 取締役の定員(人数)
  • 取締役の任期
  • 株主総会や取締役会の招集通知の方法 等

会社設立の登記手続きは、会社秘書役(Company Secretary)という有資格者が行います。
通常、会社秘書役会社や弁護士事務所に依頼することになります。
※会社秘書役:日本でいう司法書士のような役割

設立登記を行う前に、会社定款の作成も必要となりますので、合わせて専門家に依頼することをご推奨いたします。 

d.授権資本及び払込資本金の決定

マレーシア会社法が規定する払込資本金の最低額は、1RM(マレーシアリンギット)となりますが、マレーシア法人の取締役や駐在員のEmployment Passを取得するためには、マレーシア資本の比率や業種によって求められる最低資本金額が変わりますので、設立する会社で日本人が就労するためには、その金額を満たす資本金を用意する必要があります。

また、飲食業、小売業、貿易業、サービス業等に関しては、ライセンス取得のために、最低100万RM以上の払込資本金が求められます。


e.会社設立登記

会社登記の手続きは指定したカンパニーセクレタリーが行います。
 


取締役会の概要

取締役会の開催手続き
取締役会の開催の際には、マレーシア国内にいるすべての取締役に対して通知を送付する必要があります。

通知の内容は、日付、時間、場所と取締役会の議題が記載されなければいけません。通知方法は電話、FAX、Eメール、口頭など、簡易的な方法でも構わないとされています。株主総会とは異なり、招集期間は特に設定されていませんが、取締役会の招集期間として、準備・必要な場合は移動時間等を考慮し適切な期間を設定されることが望ましいです。

また、取締役会開催のための定足数に関し、日本では取締役会の定足数は過半数(定款でこれを上回ることは可能)ですが、マレーシアでは2名もしくは定款によって定められます。

 
取締役会の開催場所、決議
取締役会の開催場所は特に規定されておらず、定款で定めることでインターネットによる通信会議が可能です。

また、決議内容に関し、取締役全員が決議内容に賛成の場合は、取締役全員の署名も併せて記載することで書面での決議が可能となっています。また、通常の取締役会では決議内容は出席者による多数決で決定されます。

取締役の選任/解任
取締役の選任は株主総会の普通決議で選任することが可能です。また、取締役の選任は原則、株主総会の決議によって決定されますが、定款の定めにより取締役会で選任することもできます。解任に関しても、選任と同じく株主総会の普通決議で解任することが可能です。
公開会社の場合は解任をする取締役への事前通知が必要となります。また、取締役の選任・解任を行う際の株主総会の招集期間は28日間となっています。

 ・取締役の任期
公開会社の場合、最初の年次株主総会で全取締役が自動的に退任することになります。ただし、その後再び同じ取締役を選任することが可能です。またその後の年次株主総会では、取締役の1/3(取締役の人数が3の倍数でない場合は1/3に近似するようにする)が退任することになります。解任の順序は在任期間の長い取締役から解任されます。なお、退任した取締役はそのまま再任されることが可能です。非公開会社の場合は、別途定款にて定められた期間までとなります。

辞任
取締役が辞任を行う場合、辞任書を提出し、取締役会で承認する旨の決議がなされたのちに辞任となります。ただし、会社の取締役が1名のみである場合は、後任の取締役が選任されるまでは辞任は有効となりません。

 ・代表取締役
日本の代表取締役の概念と同様に、取締役の中から1名、代表取締役(Managing Director)を選任する必要があります。また、Managing Directorとして登記を行うことで任期に制限がなくなり、かつManaging Directorは株主総会で退任する必要はありません。

 
・取締役の報酬
マレーシアの公開会社の場合も、取締役の報酬は株主総会にて決議されます。非公開会社の取締役の報酬は定款で定めることにより取締役会での決議が可能ですが、決議から14日以内に株主への通知が必要となります。

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