マレーシア市場調査詳細

[マレーシア市場調査]マレーシアとイスラム金融


市場規模を急速に拡大しているイスラム金融とは何か。

日本企業でも近年三菱UFJ銀行やみずほ銀行がイスラム金融市場へと参入しています。

なぜ宗教と金融が成り立つのか?なぜ世界中の投資家がイスラム金融に注目するのか?

マレーシアのイスラム金融事情と共にわかりやすく解説します。
 


イスラム金融とは

イスラム金融は、イスラム法に則った金融取引の総称をいいます。

元々は、ムスリムが教義に従い生活するために考え出されたもので、その取引構造面において、

利子の授受の禁止
投機的取引の禁止:投機的行為や賭博的行為を用いることを禁止
不確実な取引の禁止:価格や数量など条件が不確実な取引は、当事者間に不公平をもたらしかねないもの、詐欺的要素を含みかねないものとして禁止 
取引相手等の当事者が教義に反する事業:豚肉・アルコール・武器・ギャンブル等に関する取引の禁止

という大きな特徴があります。

コーランには、お金を他者に渡すだけで増えて戻ってくる金利を指す「リバー」を禁じる記述が随所にあり、
イスラム金融では、利息が禁止されています。このように、最大の特徴でもある「無利子」という考え方は
商人であったムハンマドらしいルールだなと私は思います。

利子禁止の理由については、複数の説がありますが、最も主要な論点として、
利息は搾取である(貸す資金のある社会的強者が借りる必要のある社会的弱者から元本以上のものを剥ぎ取るのは、公平・平等を重視するイスラム社会において正当化されない)」という考え方があります。
また、その他にも、「利息は不労所得であるから不可」という考え方もあります。

なぜ注目され始めたのか?

イスラム金融の取引は1990年代半ば以降、資本市場取引が成長するのに伴い、急速に発展しました。
現在では毎年15%の成長率を誇ります。

その理由として、

資金需要の急増(ムスリム人口の増加+イスラム国家の経済成長)
オイルマネーの流入(石油の黒字を元に投資)

イスラム金融は、ムスリムだけが利用するものではなく、非ムスリムにも広く利用しています。
現在、その市場は、東南アジアや中東、北アフリカなど広範囲に渡っており、
その中でも、マレーシアやバーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)などが先進国となっています。

また、世界の国際金融センターであるシンガポールやロンドンなどでも、イスラム金融の取組みを積極化しています。

利子なしで銀行はどうやって利益を出すのか


無利子ということを聞くと「銀行はどうやって利益を生み出すのか」ということが気になってきます。

無利子でお金を貸していたらいつか銀行が潰れてしまいます。

そこで理解しておきたいのがイスラム金融ならではの仕組みです。

 

1.ムラバハ

この仕組みは、イスラム金融取引の7割を占めるとも言われる、一般的な仕組みです。
実際の実物取引を行い、そのお金のやりとりは銀行を介して行い、利子ではなく手数料を得るというものです。

自動車の例で見てみましょう。

通常は、購入者が自動車会社等から車を購入し、銀行からローンを借りて銀行に利息をつけて返すという仕組みです
が、イスラム金融で車を購入する場合は、購入者・自動車会社・銀行でそれぞれ売買契約を結び、銀行が自動車を
購入。手数料を乗せて購入者へ販売。購入者はその料金を銀行に支払う、というカタチになります。

つまり、契約時点で実物資産が存在することが前提となっています。
それでは、新築などといった実在しない商品はどうすればいいのでしょうか。
 

 

2.イスティスナ

「イスティスナ」は1のムラバハの変形です。
ムラバハが契約時点で実物資産が存在していることが前提となっているのに対し、イスティスナは新築住宅の取得やプ
ラント設備のように、これから建設するため契約時点では実物資産が存在しない場合に用いられるスキームとなってい
ます。商品の代わりに設計指示書等を媒介にし、顧客は銀行に返済をしていきます。ほとんど従来の銀行業と変わらな
いと言われれば、変わってません。

これらのイスラム金融の特徴は「確実性」です。
 

イスラム債

イスラム債は、銀行や事業法人など保有する資産から生み出される利潤を受け取る権利をあらわす
イスラム金融における証券のことを言います。 マレーシア国内に流通しているイスラム債のシェアは
全世界発行額のなんと69%を占めています。 マレーシアはイスラム金融のハブ市場の育成を目指して
税制・法制面の整備を進める一方で、スクークの発行を促進するためにクアラルンプールとジョホールに
国際イスラム金融フィナンシャル・センターの建設を進めています。
 

まとめ

イスラム金融はやってることが手数料やコミッションなどに名称を変えてるだけで、
従来の銀行システム同様に顧客から代金はもらっています。

しかし、従来の金融と異なるのは「実物資産」を媒介にしなければ金融取引ができないということです。
この実物資産があることで、確実な金融取引が可能になっています。
その結果としてリーマンショックやギリシャ危機のような投機性による金融不安が起こる可能性が低いことがメリットとして挙げられ、より安定した経済活動を可能にするでしょう。

 

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