マレーシアの国内総生産(GDP)の動向
マレーシアの国内総生産(GDP)の動向
今回のトピックでは、国内総生産(GDP)の動向をお伝えします。まずは2020年のGDPを振り返り、今後は四半期ごとにモニタリングしてまいります。 SourceCOVID-19によるパンデミックにより、おおよそ世界のすべての国が2020年に急激な経済の落ち込みを経験したように、マレーシア経済も深刻な打撃を受けました。2018年は4.8%、2019年は4.4%と安定的にプラス成長を図ってきましたが、2020年はすべての経済セクターが低迷し、5.6%のマイナス成長となりました。現行価格による名目GDPは14.2億リンギット、2015年時点の恒常価格による実質GDPは13.4億リンギットとなっています。 Source
マレーシア経済は、過去25年間に二度、経済の低迷を経験しています。一度目は1997年7月にタイで始まったアジア金融危機によるもので、数日のうちにマレーシア・リンギットは深刻な影響を受けました。翌年のマレーシアのGDPはマイナス7.4%にまで大幅に落ち込みました。続いて2008年、欧米諸国を襲った世界金融危機も、マレーシア経済に飛び火しました。翌年のGDP成長率はマイナス1.5%となりました。以降10年以上、安定的なGDP成長率を保ってきましたが、2020年は1998年に次ぐ低水準となっています。
マレーシアではCOVID-19の感染拡大を抑制するため、2020年3月18日から同年8月まで、全国的に活動制限令(Movement Control Order, MCO)が施行されました。マレーシア人の海外渡航や外国人の入国拒否のみならず、生活必需品の購入や通院を除いて自宅から10km圏外への移動を禁止し、特定業種を除く全ての政府及び民間活動の停止が強行されるなど、かつてないほどに経済活動は停滞しました。マレーシア政府は、活動制限令の期間中、毎日10億リンギットの損失を被ったとも言われています。
一方で、マレーシア政府は、国民の福利厚生の確保、事業の継続、経済の回復力という3つの主要分野に焦点を当てた復興計画に向けて多くの景気刺激策を開始しました。
オーバーナイト政策金利の動向
GDPの減少は、オーバーナイト政策金利(OPR)にも影響を与えました。 OPRとは、銀行間市場で銀行が相互に資金を借り入れる際の最低金利です。OPRの方向性は、経済状況とその見通しによって決まり、OPRの水準は信用市場を含む他の市場の金利に影響を与えます。経済成長が鈍化している場合、OPRは下方修正され、金利が低下します。金利が下がれば、消費者や企業は低い借り入れコストで資金を調達することができ、その結果、消費者や企業は支出や投資を増やすことができます。 マレーシアの中央銀行であるバンク・ネガラ・マレーシア(BNM)の金融政策委員会は、2020年1月、OPRを3.00%から2.75%に引き下げることを決定しました。継続して、3月には2.50%、5月には2.00%、7月には1.75%と4回連続で引き下げられました。2.00%を下回ったのは2004年5月以降の記録に残る限り、初めてのことです。さらに、2020年4月、BNMは、国家国民福祉経済回復パッケージ(PEMULIH)の下、全銀行に対し、クレジットカードの残高を除くすべての銀行ローンを自動的に6ヶ月間停止することを命じました。この措置は、Covid-19の影響を最も受けそうな中小企業や個人の資金繰りの緩和を目的としたものです。 BNMは、企業や顧客に対し、当面の資金繰りを支えるための追加融資の検討や、投資の延伸、既存設備の再利用を促し、現在の混乱から完全に回復するための時間を確保することを奨励しました。
この記事が、マレーシアでのビジネスをお考えの方に役立てば幸いです。
本記事はBridge International Asia Sdn Bhdがマレーシア現地の取材で得た情報をもとに作成しています。
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