コロナ禍のハリラヤとマレーシア食品市場への影響
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本記事ではラマダンとハリラヤのマレーシアの食文化を中心に、2021年現在の様子と、コロナ以降の食品市場の変化についてお伝えいたします。
コロナ禍でのマレーシアの食品事情の変化については、
- 店内飲食禁止や在宅勤務の影響でデリバリーの需要が増えている
- 自炊の機会が増えている
- 安全・健康への意識が高まっている
と言うことができるでしょう。
まず、マレーシアの食習慣を知る上で欠かせないラマダンとハリラヤについてお伝えいたします。
※本記事で取り上げたマレー系スタッフの例は、クアラルンプール近郊に住むいち中級マレー系の個人的見解であることをお断りします。
ラマダンとハリラヤについて
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ラマダン月は、健康なイスラム教徒の成人は日中の飲食が一切禁止となります。日没から翌朝の夜明けまでに一日分の食事を摂ることになります。
ラマダンの期間中、一日の断食明けは連日、家族で特別な食事を楽しみます。モスクでは無料のブッフェが提供されるほか、ホテルにて特製ラマダンブッフェが提供されたり、伝統料理や菓子を販売するラマダンバザールが期間限定で開設されます。
ラマダン明けを祝うハリラヤには、家族や親戚が集い、家で新調した服を着て親戚や友達を呼んで「オープンハウス」というホームパーティーのような集まりを開催します。
例年は地区や州を超えて帰省などを楽しむ人が車で移動するため、高速道路が渋滞します。
2021年5月現在マレーシアのコロナの状況
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制限令はより深刻な方から「EMCO(強化行動制限令)」、「MCO(行動制限令)」、「CMCO(条件付き行動制限令)」、「復興のための行動制限令(RMCO)」の4段階で出され、その制限内容も度々変更されています。
一時は収まりつつあったマレーシアですが、4月28日に2カ月ぶりに感染者数が3千人台となるなど感染が再び拡大する傾向にあり、一部地域で出されていたMCOが、5月12日付けで全国に拡大されました。
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行動制限のラマダンへの影響
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2019年のラマダンバザールの様子
家庭への影響
弊社マレー系スタッフによると、制限令に関係なくラマダンの時期は自宅で断食明けのご馳走を作ることが多かったことから、食生活は基本的に変わりないとのことでした。弊社では、マレー系スタッフが食事の準備ができるよう通常より早く帰宅することを認めていました。コロナ以前は帰宅時にバザールを楽しんでいたオフィスワーカーの中にも、制限令の影響で在宅勤務となる人も多くなりました。弊社スタッフの周りでも自炊をする人が増え、食の安全や衛生面に意識が高まっているようです。
街中への影響
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5月12日のMCO発令後は、ラマダンバザールが中止されたり店内飲食が禁止されたことから、飲食店のデリバリーサービスを家庭で利用する人も増えたように見受けられました。
なお店内飲食禁止の影響で、出勤日の昼食にはテイクアウトを利用するか弁当を持参せざるを得なくなりましたが、ラマダン期間中は、断食中のマレー系スタッフへの配慮から非イスラム教徒が屋外で食べたり、オフィスの片隅で食べるといった光景もみられました。
行動制限のハリラヤへの影響
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家庭への影響
弊社マレー系スタッフによると、例年は大勢の親戚や友達を呼んで、オープンハウスというホームパーティーのような集まりを楽しみます。今年のハリラヤではMCOにより地区を超えた移動が不可となり、同居の家族又は同じ地区内に住む親戚のみしか会うことが出来なくなりました。
街中への影響
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ハリラヤの期間は普段よりも多くモスクに行って礼拝をするものの、コロナの影響で来場人数の制限があり、行く機会は減ったそうです。
また、例年なら帰省で混雑する市内の道路も、今年はMCOの影響でほとんど渋滞は見られませんでした。
コロナ禍での食生活の変化
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家にいる時間が増えたことから、弊社マレー系スタッフは自炊時にカロリーオーバーにならないよう気を付けているそうで、食費は例年より増えたとのことでした。
コロナ禍でのハリラヤ食品市場の変化まとめ
コロナ以前のハリラヤと今年のハリラヤを比べて食品市場への影響を纏めました。- 店内飲食禁止・ラマダンバザールが不可なことで持ち帰り・デリバリーの需要が増えた
- 在宅勤務も多くなり自炊の機会が増えている
- 移動が制限され、家にいる時間が長くなり、健康に注意を払う人も増えている
本記事がマレーシア食品市場へご関心をお寄せの方の参考になれば幸いです。
本記事は日本からの食品輸出をサポートする、ASIA INFONET (M) SDN BHDの協力を得て作成しています。 主な業務内容
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