モナシュ大学、クアラルンプール中心部に新キャンパス建設へ
2025/12/23
オーストラリアの名門大学モナシュ大学は、マレーシア・クアラルンプール中心部に新たな都市型キャンパスを開設する計画を発表した。 これはモナシュ大学マレーシアによる過去最大規模の投資であり、総額は約28億リンギット(約10億米ドル)に上る。
新キャンパスは、クアラルンプールの国際金融地区「Tun Razak Exchange(TRX)」に位置し、 TRXのマスターデベロッパーであるTRX Cityとのパートナーシップのもとで整備される。 金融機関や多国籍企業が集積する都心立地を生かし、産学連携やイノベーション創出、 就業直結型教育の加速を目指す。
豪州首相・マレーシア高等教育相も出席し正式発表
新キャンパス構想は2025年10月28日、モナシュ大学の副学長兼学長であるシャロン・ピカリング教授が、 オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相、マレーシアのザンブリー・アブドゥル・カディル高等教育相とともに発表した。
アルバニージー首相は、 「オーストラリアの世界最高水準の高等教育を海外で展開することは、雇用と投資の拡大につながるだけでなく、 地域との深い結びつきを強化する重要な機会だ」と述べた。 さらに「クアラルンプールの中心で、オーストラリア有数の国際大学から学べる環境が整うことは、 両国関係にとって大きな意義を持つ」と強調した。
22,500人の学生を受け入れ、次世代人材を育成
新キャンパスは2032年の開学を予定しており、2040年以降には学生数最大22,500人、 教職員約1,700人規模の受け入れを想定している。 既存のマレーシアキャンパスに追加する形で整備され、 現在提供されている教育・研究プログラムは継続される。
キャンパス内には、エネルギートランジション、ヘルスケア、人工知能(AI)、 データサイエンスなどの先端研究拠点が設置される予定だ。 また、デジタル化、AI・サイバーセキュリティ、気候変動・サステナビリティ、 デジタルヘルス、半導体・先端製造、銀行・金融分野など、 将来のグローバル人材育成を見据えた35以上の新コースが提供される。
ASEANとの結びつきを強化、地域経済にも大きな波及効果
TRX CityのCEOであるダト・スリ・アズマル・タリブ氏は、 「モナシュ大学マレーシアとの連携は、人材育成を通じて マレーシアの国際競争力とASEANとの接続性を高める」と述べ、 新キャンパスが次世代のグローバル人材育成の拠点となることへの期待を示した。
モナシュ大学マレーシアは1998年、マレーシア初の外国大学キャンパスとして設立された。 当初417人だった学生数は、現在では80カ国以上から1万1,000人超に拡大しており、 世界トップ40大学の教育を求める需要は年々高まっている。
今後10年で約65億豪ドルの経済効果を見込む
同大学によると、新キャンパスへの投資は今後10年間で 約65億豪ドル(約191億リンギット)の経済効果を地域にもたらす見込みだ。 インフラ、イノベーション、雇用、学生消費、地域社会など、 幅広い分野への波及効果が期待されている。
今回の大型投資は、約30年にわたるマレーシアでの成功を基盤とし、 オーストラリア本校の支援を受けて実現する。 モナシュ大学は「インド太平洋の大学」として、 ASEANとの関係を一層深化させ、世界水準の教育・研究を通じて 地域とともに成長していく方針だ。





