自動車・バイク・機械 業界調査レポート

自動車・バイク・機械　業界調査レポート

マレーシア自動車産業　業界レポート

マレーシアは、世界の自動車メーカーにとって魅力的な拠点となっています。
ホンダ、トヨタ、日産、メルセデス・ベンツ、BMWは、活況を呈する消費者需要を活用するために同国に事業所を構えたグローバル自動車企業の一例です。中国の大手自動車メーカーであるGeely Auto Groupは、2017年にPROTONの株式を取得しました。これは、マレーシアを活用してASEAN市場に進出しようとする中国の投資家の強い関心を示しています。
ZF、Delphi、Continental、日本化薬、PD Kawamura、明石機械工業、デンソー、Boschといった国際的な部品メーカーも、マレーシアをこの地域での製品投入の拠点としています。

自動車の組み立て拠点からメーカーの製造拠点へ

マレーシアの自動車産業は長い道のりを経てきました。単なる自動車の組み立て拠点から自動車メーカーの拠点へと変貌を遂げたのは、PROTONとPERODUAという国家的な自動車産業プロジェクトの設立で始まったといっていいでしょう。現在、タンジュンマリムのプロトン工場は、ロボット技術を採用した完全自動化工場であり、リーン生産方式による大量生産と効率化を目指して設計されています。

この産業は、マレーシアの製造業において重要かつ戦略的な役割を果たし、マレーシアのGDPの4%に貢献しており、ASEANで3番目に大きな自動車市場であり続けています。現在、マレーシアには、乗用車、商用車、オートバイ、スクーター、自動車部品などの製造・組立工場が28カ所あります。組み立てや製造に加え、エコシステムは研究・設計、製品・プロセス開発、資材管理、アフターサービスなど、幅広い活動をカバーしています。この産業は、エンジニアリング、補助産業、支援産業の発展を確実に促進しています。また、技能の向上や技術力・エンジニアリング力のアップにも貢献しています。

EV市場へのかじ取り

世界的なトレンドがEV化に向かい、新しいビジネスモデルの台頭が予想される中、マレーシアの自動車産業も例外ではないでしょう。多様なモビリティ、自律走行、電動化、コネクティビティといった技術主導のトレンドが、10～15年後の業界を形成すると予想されます。マレーシアの自動車産業の未来は、いくつかの課題を抱えていますが、同時に多くの新しいチャンスも提供しています。

マレーシア政府は、拡大するトレンドに対応し、マレーシアを自動車分野の製造、エンジニアリング、テクノロジー、持続可能な開発における地域のリーダーとして前進させるため、「国家自動車政策2020」を発表しました。マレーシアは、特に次世代自動車（NxGV）、電気自動車、自律走行車、およびエンジン、パワートレイン、光・電波探知器、ADAS（先進運転支援システム）、EVバッテリーとそのバッテリー管理システムなどの関連中核・重要コンポーネント分野での投資を歓迎しています。そして、パイオニアステータスや投資税制優遇措置など、マレーシア政府はさまざまな優遇措置を提供しています。マレーシアは、国内のEVエコシステムをさらに向上させるために、このような投資を引き続き歓迎していくことでしょう。