国際グリーンテック・エコプロダクツ展示会 IGEM 2022
イベント概要
国際グリーンテック・エコプロダクツ展示会(International Greentech & Eco Products Exhibition and Conference, IGEM)は東南アジア最大のグリーンテクノロジーとエコソリューションの交流イベントとして設立され、過去12年にわたり東南アジア地域で持続可能な経済成長の実現に向けた触媒としての役割を担ってきました。気候変動への解決策を議論するため、政府関係者や産業界の専門家、起業家や関連ビジネスを一堂に集めて広くグリーンテクノロジーを紹介し、すべての人がどのように課題解決に向けた役割を果たせるかを明らかにすることを目的としています。
本イベントは環境・水省(KASA)が主催、マレーシア・グリーンテクノロジー&気候変動センター(MGTC)が共催し、通商産業省(MITI) 傘下のマレーシア投資開発機関(MIDA)が戦略パートナー、マレーシア対外貿易開発公社(MATRADE)がビジネスマッチングパートナーを務めています。
2010年の設立以降、のべ70以上の国から50万人以上の来場者と、3千億リンギ以上の投資を集めました。初のオンライン開催となったIGEM2020で約34億リンギ、昨年IGEM2021で約46億リンギ相当のビジネスが創出されたことより、IGEM2022では30ヶ国以上から30億リンギの投資と300以上の出展者を集めること目指すことが発表されました。
IGEM2022は10月12から14日にかけてクアラルンプールコンベンションセンター(KLCC)にて、展示会、会議、ビジネスマッチングを含む対面式で開催されました。2050年までに炭素排出ゼロを達成するという政府の目標に沿って「Race Towards Net Zero:SDG(持続可能な開発目標)とEGS(環境、社会、統治)のコミットメントの達成に向けて」というテーマと、「都市のエンパワーメント」「モビリティの電化」「エネルギーの脱炭素化」「循環型社会の加速」という4つの主要トピックが設定されました。
海外からの参加
中国、台湾、オランダ、カナダ、韓国、シンガポール、オーストリアなど30カ国からの代表者が参加しました。プラチナスポンサーでシンガポールに本社を置くEnvision Digitalはリアルタイムで二酸化炭素排出量を追跡できる低炭素オペレーティングシステムの共同開発に向けて、MGTCとパートナーシップ契約を締結しました。
オランダはナショナルパビリオンを出展し、企業や研究機関10社が参加が参加しました。在馬オランダ大使館大使は2050年までに完全な循環型経済を実現に向けて、マレーシアとの関係を強化すると発表しました。
また台湾は、マレーシアと台湾間のサステナビリティ分野におけるビジネス・コラボレーションを促進に向け特別展示を行いました。地元マレーシアの著名人がTaiwan Excellence ESG programmeの代表に就任し、今後、地方の高校で、キャンパスの緑化やゴミの削減、次世代への環境保護意識の定着化に向けたワークショップを開催し、台湾から輸入した生分解性の苗袋でマレーシアの国花であるハイビスカスを栽培する予定です。
国際電気自動車展示会
IGEM2022では、2021年に環境・水省が発表した「低炭素モビリティブループリント2021-2030」に基づき、国際電気自動車展示会が新設されました。計画では2025年までに1万台以上の電気自動車充電器の導入や、2030年までにすべての政府用自動車の電気化等が盛り込まれており、その実現に向け、電気自動車メーカーが最新技術や新製品をアピールする場となりました。
自動車製造のプロトン(PROTON Holdings Bhd)は、マレーシアのEVおよびNEV(新エネルギー車)分野でのプレゼンス確立に向け、ペトロナス(Petroliam Nasional Bhd)社のクリーンエネルギー子会社であるGentari Sdn Bhdとの覚書締結を発表しました。プロトンは2021年8月にsmart(メルセデス・ベンツとジーリー(吉利汽車)の合弁EVメーカー)と総販売代理店契約を締結し、9月に新会社「Proton New Energy Technology(PRO-NET)」を設立しています。この覚書を受けて、PRO-NETが充電場所と電源設備を、Gentariが充電インフラと運用ソリューションを提供し、2023年に20基の充電設備を建設予定です。
また自動車と重機の販売を手掛けるUMW グループは子会社である UMW Grantt International Sdn Bhd から、パーム油を原料とした初のバイオ油圧潤滑油製品を発表しました。同じく子会社のUMW M&E Sdn Bhdは、三井物産(マレーシア)Sdn Bhdと覚書を締結しました。持続可能な製品・サービスに対する需要の高まりを受け、ASEANを中心とした市場において、UMW独自のグリーン製品を、三井物産の世界的な販売・マーケティング基盤を活用して拡大していくとのことです。
会議・セミナー
会期中、30名の講演者と9つのパートナーにより大小15の会議やセミナーが開催され、今年のテーマに関連した広範囲の議論が交わされました。環境・水資源省事務総長は地場の太陽光や再生可能エネルギー会社、安全保障委員会、国連、その他参加国からの専門家とともに、マレーシアが2050年までにカーボンニュートラルになるという国家目標を達成するための今後の動きについて議論しました。
低炭素都市に関する会議にはマレーシア全土から複数の自治体が参加し、都市部の炭素排出量削減の方法を中心に現在発生している課題が共有されました。そのほかにも水素エネルギー、エネルギー効率、ゴミ、水のマネジメント、循環経済についてのセミナーが開催されました。
マレーシアは洪水や干ばつなど予期せぬ自然災害を受けやすいため、気候変動への危機意識の醸成が重要視されています。IGEMがマレーシア人への気候変動危機への教育の場となり、その先に地場の教育研究機関から技術革新者が生まれることが期待されています。
イベントWebサイト: https://www.igem.my/
IGEM2022ハイライト: https://www.igem.my/2022/10/19/igem-2022-highlights/
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