マレーシアにおけるコメ(精米)の市場動向調査
マレーシア向け輸出米について、市場の特性
多民族のマレーシアでは、マレー系、中華系、インド系など多くの人種が多様な食文化を形成しています。その多様性のなかにおいても、コメは主食として、多くの民族で消費されています。1人当たりのコメの年間消費量は日本人を上回るほどです。マレーシアのお米市場の特性
- 1971年、マレーシアの消費者に対するコメの安定供給と生産者に対する米価の安定を目的に国立米穀公社(LPN)が設立され、コメ輸入も一元的に扱うこととなりました。後に法人化されBERNAS社(ベルナス社)となり、1996年には民営化、上場しています。
- 現在、マレーシアではコメの流通は自由化されていますが、農業省稲・米管理局から卸売ライセンス、輸入ライセンス、輸入許可の取得が必要です。 BERNAS社が、買付、精米、輸入、物流及び貯蔵などで主導的な役割を担います。特にコメの輸入については、政府との契約の下、2021年1月まで同社が独占して実施しています。
- 輸入量はマレーシア政府が定めています。
- 関税率 精米・玄米:40% 包装米飯:7% 米菓:0%(精米の関税はTPP 11年目に撤廃予定)
- マレーシアは、農林水産省の「コメ海外市場拡大戦略プロジェクト」の戦略的輸出ターゲット国の1つ (2020年5月時点)となっています。
お米の消費の傾向
- マレーシアの主食はコメです。品種はインディカ米が主流です。他民族・宗教国家のため、それぞれの食文化を尊重する風土があり、コメに合う料理や米料理 もバリエーションに富んでいます。
- 2014年のマレーシアにおける1人当たりのコメの年間消費量は、日本人の平均54.6kg(2015年)より20kg以上も上回る78.6kgで、約1.4倍です。
マレーシアの精米(コメ)の輸出入推移
- 日本からマレーシアへの精米の輸出量は2015年に2.5倍強に伸長し、その後も堅調に増加しています。
- 2018年から2019年にかけて、精米の輸出量は203MTから194MTとわずかに減退しましたが(前年比95.6%)、輸出金額としては45.8百万円から46.2百万円に微増しています(前年比100.9%)。
- 日本の精米の輸出はマレーシア輸入額全体の1%未満となっています。
マレーシア全体の精米の輸入量
マレーシアの精米(コメ)の主な輸入先国(2015年):タイ、ベトナム、パキスタン、インド、カンボジア、オーストラリア、日本、韓国、バングラデシュ、台湾日本食の浸透とともに日本米の需要が拡大している傾向
2013年、日本政府はマレーシアの国民を対象に日本渡航時のビザ条件が緩和しました。これにより、年々マレーシアから日本への旅行者は増加し、2019年年間では50万1700人で過去最高を記録。2019年12月は、単月として過去最高となる7万8300人の訪日外客数を記録しました。コロナ禍においても人気の日本食
日本に旅行したマレーシアの消費者が日本で体験した日本食の味をマレーシアでも味わいたいというニーズが高まっています。コロナ禍においても、日本の味を提供するお鮨や日本料理店の人気は衰えていません。日本を旅行して本物の味を知るマレーシアの消費者が日本米の需要を支えているとみられます。この記事が、マレーシアでのビジネスをお考えの方に役立てば幸いです。
本記事はBridge International Asia Sdn Bhdがマレーシア現地の取材で得た情報をもとに作成しています。
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