CPTPP(TPP11)とその影響について
CPTPPとは
CPTPP(TPP11)は、太平洋沿岸に位置する11か国の貿易協定です。元々はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)として知られていましたが、2017年にアメリカが脱退した後名称が変更されました。CPTPPは2018年3月に署名され、2018年12月30日に発効しました。加盟国は、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムです。これらの国々は、世界経済の約13%を占めています。この中でシンガポール・ブルネイ・チリ・ニュージーランドはTPPのさらに前身のTPSEPを設立した企業です。
この協定は、関税やサービスの貿易障壁を撤廃し、知的財産保護を改善し、規制協力を促進することで、加盟国間の経済成長を促進することを目的としています。労働および環境基準に関する規定、電子商取引、政府調達、投資に関する規則も含まれています。
CPTPPは、従来の貿易協定を超えて、労働権、環境保護、知的財産権などの問題についても規定が含まれています。アジア太平洋地域における貿易自由化と経済統合を促進する手段として見られています。
CPTPPの世界経済への影響
まず、CPTPPは参加国間の貿易障壁を撤廃することによって、貿易の自由化と促進を図ることを目的としています。これにより、参加国間の貿易量が増加することが予想されます。また、CPTPP加盟国間の投資の促進や知的財産権の保護にも取り組んでいます。
一方で、CPTPPは米国を含まない貿易協定であり、アメリカとのFTA(自由貿易協定)が締結されなかった場合、CPTPP参加国とアメリカの間の貿易に対して一定の制限が残ることになります。そのため、アメリカが関与しない形でCPTPPが進められたことで、アジア太平洋地域の貿易体制がアメリカとの経済的なつながりを失うことになる可能性も指摘されています。
さらに、CPTPPは参加国間での競争を促進することになるため、貿易赤字国や競合する国の業界にとっては、厳しい環境になる可能性もあります。一方で、一部の産業にとっては新たな市場や投資機会が生まれることが期待されます。
総じて、CPTPPの影響は参加国や業界によって異なるため、各国が自国の産業の競争力を高め、機会を掴むことが重要になってきます。
CPTPPの日本経済への影響
CPTPPが日本経済に与える影響については、以下のような点が挙げられます。
- 貿易の拡大: CPTPPによって日本の主要貿易相手国であるアジア太平洋地域との貿易が拡大することが期待されます。特に、日本の自動車や電子機器などの輸出産業にとっては、新たな市場を開拓する機会が生まれることが期待されます。
- 投資の促進: CPTPPは投資の自由化や保護にも取り組んでおり、これによって日本企業にとっては海外進出や海外からの投資が容易になることが期待されます。また、知的財産権の保護が強化されるため、日本企業が持つ技術やブランド力を活かした事業展開が可能になることも期待されます。
- 農業分野への影響: CPTPPは農業分野にも関心があり、参加国間での農産物の自由化が進むことが期待されます。これによって、日本の農業にとっては海外からの競合が激化することになりますが、一方で日本の加工食品などの輸出産業にとっては、海外市場での競争力の向上が期待されます。
これらにくわえ、通関制度の迅速化などのメリットもあります。日本市場は今後縮小していくため、この協定は日本経済にとって良い影響をもたらすのではないでしょうか。
CPTPPのマレーシア経済への影響
マレーシアにとってCPTPPの影響は様々な面で現れます。日本と同じく貿易の拡大投資の促進などが起こることが予想されます。これにより電気製品・機械・医薬品・繊維などは恩恵を受けることが予想されます。一方で自動車産業などはますます激しい競争になるでしょう。
また、CPTPPは知的財産権の保護に関する規定を含んでおり、マレーシア企業が知的財産権を保護することがより重要になります。このような環境の下、マレーシア企業は知的財産を守り、海外市場にアクセスすることができるようになるでしょう。
総合的に見ると、CPTPPはマレーシアの輸出企業や投資環境にプラスの影響を与える一方で、一部の業界には厳しいルールが適用されることになるため、その分野においては課題も生じる可能性があります。
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CPTPPにより各業界は激しい競争にさらされます。しかしながら、これによって各国の競争力が増しより良い製品が各国に供給されることが予想されます。
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