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マレーシア基礎 経済概況

2019/11/01

 
 

マレーシアは、マレー半島南半分と、ボルネオ島の北西海岸地域(サバ、サラワク州)から成り、3つの連邦直轄区(クアラルンプール、ラブアン島及びプトラジャヤ)と13州で構成される連邦国家です。総人口の約8割は半島マレーシアに集中しています。東マレーシア地域は豊富な鉱物資源に恵まれていますが、人口は少ないです。主な天然資源は、原油、天然ガス、天然ゴム、パーム油、木材、錫鉱、銅鉱、ボーキサイト鉱等です。2018年5月の総選挙で、独立以来政権を維持してきた国民戦線が希望連盟に敗北し、歴史的な政権交代が起こりました。

1. マレーシア基礎項目

地理 面積:33万k㎡(日本の87%に相当)
気候 高温多湿で四季の変化はほとんどなく、わずかに乾季・雨季の区別がある。
首都 クアラルンプール(人口180万人、18年央)
人口 3,239万人(18年央)、年平均増加率+1.61%(13~17年)
民族 マレー系・先住民69.1%、中華系23.0%、インド系6.9%(18年央)
宗教 イスラム教(国教)61%、仏教20%、キリスト教9%、ヒンズー教6%
言語 マレー語(国語)、中国語、タミル語、英語、広東語、福建語
 

2. マレーシア経済構造

産業構造

マレーシアは、ASEAN主要国の中でも工業化が進展した国の1つです。GDPに占める工業の割合は、低下傾向 にあるものの、現在でも約4割となっています。プランテーションによるパーム油生産など、農業部門も引き続き一定のシェアを占めています。また、サービス化が進展し、主力産業となっています。
 

輸出構造

電子・電気機械で輸出全体の3分の1以上を占めています。そのなかでも、けん引役となっているのは半導体産業です。再輸出中継港としての色彩が濃い香港・シンガポール向けを除くと、ASEAN、中国、EUの順に輸出が多いです。
 

輸入構造

エレクトロニクス製品の世界的なサプライチェーンの一角を占めており、輸出と同様、輸入においても電子・電気機械の比率が高いです。続いて鉱物燃料、機械・輸送機械となっています。輸入元としては、中国、ASEANのシェアが高くなっています。
 

3. マレーシア政治・外交

独立年月日 57年(8月31日) 半島11州でマラヤ連邦が発足
63年 シンガポール、サバ、サラワクを含めマレーシア連邦が成立
65年 シンガポールが分離独立
現憲法 63年9月公布
政体 立憲君主制(議会制民主主義)
元首 アブドゥラ第16代国王(Sultan Abdullah)
(パハン州スルタン、19年1月就任、任期5年)
行政責任者 マハティール・ビン・モハマド首相 (18年5月就任<1期目*1>任期5年)
(Mahathir bin Mohamad)
政党
※()内は下院議席数、19年9月
与党連合-希望連盟 (PH, 129)
[人民正義党(PKR, 50)、民主行動党(DAP, 42)、ベルサトゥ(PPBM, 27)、国民信託党(AMANAH, 11)]
野党連合-国民戦線 (BN, 40)
[統一マレー国民組織(UMNO, 38)、マレーシアインド人会議(MIC, 1)、マレーシア華人協会(MCA, 1)]
全マレーシア・イスラム党 (PAS, 18)
その他野党 (35)
議会 下院222議席(任期5年)
上院70議席(44名:国王任命 26名:州議会指名、任期3年)
軍事 正規軍11.3万人(陸軍8.0万人、海軍1.8万人、空軍1.5万人)
予備軍5.1万人 国防支出GDP比1.1%(The Military Balance 2019)
外交 ASEAN重視、非同盟中立、イスラム諸国会議機構(OIC)加盟諸国と連携
加盟国際機関等 国連、IMF、世銀、WTO、ADB、ASEAN、APEC、OIC、AIIB 等
義務教育 小学校6年(就学率98.6%) ※義務教育外では中等学校(下級3年、上級2年)が無償
 

4. マレーシア経済指標(2018年数値)

US$1 =4.18リンギ、1リンギ=US$0.24=26.04円 [19年10月末現在]

名目GDP 14,469億リンギ(3,586億ドル)
1人当たりGDP 11,072ドル
名目GDP構成比 製造業 21.6%、卸売・小売 16.4%、鉱業 9.3%、公的サービス 8.1%、農林水産業 7.5%、金融・保険 6.3%、情報・通信 5.6%、建設業 4.8%
就業人口構成比 サービス業64.0%、製造業・建設業17.6%、農林水産業11.1%
輸出構造 電気・電子38.1%、パーム油・同製品6.8%、石油精製品6.6%、液化天然ガス(LNG)4.0%、原油3.7% (輸出額GDP比69.0%*2)
主要輸出先 ASEAN 28.6%(シンガポール13.9%、タイ5.7%など)、中国13.9%、EU 9.9%、米国9.1%、香港7.5%、日本6.9%、インド3.6%
輸入構造 中間財52.4%、資本財12.7%、消費財8.3%(輸入額GDP比60.7%*2)
主要輸入先 ASEAN 25.5%(シンガポール11.7%、タイ5.5%、インドネシア4.6%など)、中国19.9%、EU 9.7%、米国7.4%、日本7.2%、台湾7.2%、韓国4.4%、香港1.7%
本邦金融機関
進出状況
銀行:三菱UFJ、みずほ、三井住友 ※各行とも現地法人・支店の両方を有する
保険会社現地法人:三井住友海上火災保険、東京海上日動火災保険、 損害
保険ジャパン日本興亜 証券会社現地法人:野村證券
本邦総合商社
進出状況
伊藤忠商事、住友商事、豊田通商、双日、丸紅、三井物産、三菱商事
 
 

5. マレーシア社会の特徴

マレー系、中華系、インド系など、多種多様な民族から構成される多民族国家です。独立以前から経済面で大きな力を持つ華人とマレー人との間に大きな格差が存在します。格差縮小のための政策(ブミプトラ政策)を長年実施していましが、2009年に規制緩和を発表しました。また、天然ガス、原油、パームオイルなど天然資源が豊富です。
 

社会

 マレーシアでは、独立以前から華人が経済面では強い影響力をもっており、暴動が起きるほどの経済格差がマレー人との間にありました。そのため、政府はその格差を縮めるためのブミプトラ(土地の子の意味)政策を取り、マレーシア人企業家を育成してきました。その結果、以前ほどの民族間の緊張はなくなり、マレー系企業のプレゼンスは年々高まりつつありますが、華人企業家は依然として大きな影響力を保持しています。 
 

経済

 古くから外資系企業を積極的に受け入れてきたエレクトロニクス、鉱物資源やその加工品、天然ゴム・パームオイルといった農産品など、強力な輸出産業の基盤を持つ輸出立国 財政・金融政策の運営は基本的に保守的であり、経済は安定的に推移しています。経常収支は黒字基調が続いていますが、外貨準備はやや少なめと評されることが多いです。 
 

政治

 1957年の独立以来、一貫して国民戦線が政権を担ってきましたが、2018年5月の総選挙で希望連盟が過半数を制し、歴史的な政権交代が起こりました。ナジブ前首相の汚職疑惑や、消費税導入などが政権交代の主たる要因です。マハティール元首相(在任期間1981~2003年)が首相に返り咲き、マハティール氏は、1~2年でアンワル元副首相に政権を禅譲することを約束しています。
 

外交

 マレーシアの外交は、①自由と独立、②善隣友好、③ASEAN域内協力推進、④世界平和の促進と繁栄、⑤国連憲章の遵守の5原則を掲げています。 非同盟・中立の方針を柱に、ASEAN諸国やイスラム諸国との協力、米国や中国などの大国と等距離外交、国連活動への積極的参加など多面的な外交を展開しています。 
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