マレーシア市場調査詳細

マレーシアでのコロナ禍で日本産海産物・水産品の販売は期待できるのでしょうか?|マレーシアの大手水産品輸入卸売業者に聞き取り・市場について調査しました!

コロナ禍のマレーシアでは、引き続き日本産海産物・水産品の販売は期待できるのでしょうか。マレーシアの大手水産品輸入卸売業者4社に聞き取りを行い、市場について調査しました。
 
マレーシアには約1,500店舗の日本食レストランがあります。また、寿司の持ち帰り専門店もマレーシア全土に広まっており、日本食や日本産食品の人気はとても高く、馴染み深いものとなっています。

2021年8月現在のマレーシアでは、ロックダウンにより、取材地域の店内飲食が制限されています。このため必然的に持ち帰りの需要が高まっています。

写真上のEmpire Sushi(現地系)は寿司の持ち帰り専門店の人気チェーン店の1つで、マレーシア全土に52店舗を展開しており、コロナ禍でも連日マレーシア人客で賑わっています。市場ではどのような商品が求められているのでしょうか?

本取材はクアラルンプール・セランゴール地区に拠点を構える卸売業者を対象に行ったものです。他の地域の傾向と異なる場合があることをご承知おきくださいませ。

 

卸売業者のマーケティング情報

今回聞き取りを行った卸売業者4社に、ターゲット層や商品選別のポイント、今後使いたい商品、日本業者への要望を取材し、纏めました。
  卸売業者のターゲット顧客はレストランやホテルなど業務向けから、エンドユーザー(消費者)まで様々ですが、その中でも商談で重視していることの共通点は「価格」でした。今後買いたい商品としては、3社が「まだ扱われていない目新しい商品」と回答しました。

 

日本産海産物の商材提案のポイント

上記のアンケート結果から、エンドユーザー(消費者)向けの販売を行っている輸入卸売業者は、未だマレーシアでは販売されていない商品・食材を求める傾向があると言えます。

また、日本産海産物を提案する際に、多民族国家であるマレーシアのバラエティーに富んだ食文化(中華料理、マレー料理、インド料理、その他西洋料理等)に適応させるべく、日本食だけではなく様々な料理法を提案していく必要があると言えるでしょう。

輸入卸売業者4社へ、ニーズの高い品目について聞き取りを行いました。

* ウニやマグロの刺身はeコマースで販売され消費者からの人気が高く、ベストセラーとなっている。(SR社)
* 牡蠣やホタテ貝は主にレストラン等飲食店からの需要が高く、飲食店の持ち帰り専用メニューとして提供。需要が伸びている高単価のウニも有望品目と見ている。(PK社)
* 最有望品目は需要が拡大しているマグロ、次いでホタテ、イカ。(JG社)
* マレーシアの消費者が、日本スタイルの寿司を日本やシンガポールで経験するようになり、生魚に対する拒否感が薄れてきている。(SI社)

 

日本産海産物の価格設定について

商談では価格の重要度が高く、いかに魅力的で競争力のある見積りを提示出来るかが商談成立のカギとなっています。以下は、それぞれ別の業者から実際の小売価格と卸売価格を入手したものです。

小売価格
 ウニ:MYR280.00(約7,300円)/ 1パック (北海道産)
 マグロ刺身:MYR100.00(約2,600円)/ 1パック

卸売価格
 生食用冷凍牡蠣:MYR500.00(約13,000円)/ kg (宮城県産)
 冷凍ホタテ貝柱刺身用:MYR135.00(約3,500円)/ kg(宮城県産・青森県産)

 

水産品の他国競合品について

競合として他国からどのような品目が入手されているか、卸売業者に聞き取りを行いました。
 
  • カナダ産生牡蠣
  • スコットランド産冷凍ホタテ貝
  • ノルウェー産サーモン
  • 近海産・中国産サバ
* マレーシア人に人気が高いサバ、エビ、イカ、イワシ、マグロ、淡水魚は主に中国や東南アジア諸国から輸入。サバは消費量・輸入量共に多いが、近海産・中国産との価格競争 が激しく、高付加価値品としては売りにくい。(SR社)
* 近年では、アメリカやノルウェーが主に輸出している高単価のサーモン、タラ、貝類の消費が増えている。 (SI社)
 

コロナ禍でのコミュニケーションについて

マレーシアの商習慣では、対面でのコミュニケーションを重視する傾向にありますが、コロナ禍で対面でのやり取りが難しい今は、メールやオンラインを活用して継続的なコミュニケーションを行っていく必要があると言えるでしょう。

 

まとめ

  • ロックダウンの影響で持ち帰りの需要が高まっている
  • 消費者むけ商品としては、未だマレーシアでは販売されていない商品・食材を求める傾向がある
  • マレーシアの卸業者との商談では魅力的な価格設定の重要度が高い
  • コロナ禍で対面でのやり取りが難しい今は、オンラインを活用して継続的なコミュニケーションを行っていく必要がある


本記事がマレーシアへ販路開拓を検討する日本企業の皆様のお役に立てば幸いです。
このレポートは札幌産業振興財団のために作成したものです。
 
本記事は日本からの食品輸出をサポートする、ASIA INFONET (M) SDN BHDの協力を得て作成しています。
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