マレーシア市場調査詳細

マレーシアのデジタルマーケティング事情、2022年トレンド

パンデミックによって、マレーシアの人々のデジタル化が加速

2020年から2022年にかけて発生した新型コロナウイルスの蔓延は、多くの市民生活、企業活動に未曾有の影響を与えることになりました。パンデミックが発生したこの期間、マレーシアでも「Stay Home」が叫ばれ、オンラインで通勤や通学、オンラインショッピングなどの生活習慣がいっきに浸透することになりました。
 

変化したマレーシアの日常とデジタル経済の急拡大

2022年現在、マレーシアではスマホやPCを利用して、在宅勤務やオンライン学習を行うのは日常の姿になっています。 人材ソリューション企業のRandstad Malaysiaが2021年8月に実施した調査によると、マレーシアの回答者の69%が、パンデミックによる移動規制令が解除されても在宅勤務を続けたいとの意向を示していたそうです。

コロナ禍の移動制限令によって、インターネット普及率が一層高まったことは言うまでもなく、スマホやタブレット端末の普及が後押しされ、デジタル経済が急拡大しました。今後もデジタル経済が成長する傾向が継続するものと見られます。 若い世代が多くデジタルに精通した国民、堅調な経済成長、そして高度に都市化されたマレーシアにおいて、消費者向けの商品やサービスを提供するB2C企業、そしてB2B企業にとっても、デジタルマーケティング戦略はマレーシアでマーケターが展開する際に最も重要であり、不可欠な手段と言えるでしょう。

このレポートでは、マレーシアのデジタルマーケティングの状況、トレンド、そしてこの市場でビジネスを成功させるための機会についてご説明いたします。
 

調査レポートの主な内容

 

マレーシアのデジタルマーケティングの最新トレンドを理解する

デジタルマーケティングのトレンドは、日々変化しており、競争も激しい分野です。企業はオンラインからのリードと売上を高めるために、常に最新のデジタルマーケティングのトレンドを理解しておく必要があります。
 

ほぼすべての国民がインターネットユーザーを利用

マレーシアのインターネット普及率は東南アジア地域で最も高く、人口3,298万人のうち89.6%を占めています。一方、3,025万人がアクティブなソーシャルメディアユーザーであり、人口の91.7%を占めています。 インターネットにアクセスするためのデジタルデバイスの利用状況について、マレーシアのスマートフォンユーザーは2020年に99.2%とほぼ飽和状態に達しています。

デジタル技術の進歩により、携帯端末ユーザー、インターネットユーザー、アクティブなソーシャルメディアユーザーの3つの側面でユーザー数が拡大する傾向を顕著にみることができます。
これらは、マレーシアのデジタルマーケティングを成功させるための強固なユーザー層となっており、低コスト、高パフォーマンスでマレーシアのオーディエンスにアプローチできる機会を提供してくれます。
 

1日のほぼ3分の1の時間をインターネット利用に費やす

マレーシアの人々は、毎日平均9時間10分をインターネット利用に費やしており、これは1日のほぼ3分の1に相当します。具体的には、動画(放送・ストリーミング)とソーシャルメディアに最も多くの時間を費やしており、それぞれ3時間18分、3時間2分となっています。
 

長時間に渡って動画をみる傾向

特に、数秒程度の短い動画は、マレーシアのデジタルマーケティング戦略において活用することが推奨されます。マレーシアでは現在、モバイルが主要なインターネットアクセスポイントとして伸びており、スマートフォンによるモバイル接続(人口の128%)とオンラインに費やす時間は増加しています。
 

調べものや買い物の情報はソーシャルネットワークを利用

興味深いデータとして、マレーシアのインターネットユーザーの54.7%が、ブランドや製品に関する情報を探すためにソーシャルネットワーク(SNS)を利用しており、他のツールを大きく上回っていることが挙げられます。このデータは、ソーシャルネットワークが情報へのアクセスにおいて最も人気のある手段であることを示しています。ソーシャルネットワークを利用したキャンペーンを実施し、認知度を高めることができれば理想的です。

 

マレーシアで最も人気のあるデジタルマーケティング手法とは

検索エンジンとしては、圧倒的にGoogle

マレーシア人の81.6%は、主に情報を検索するためにインターネットにアクセスしています。そして、Google検索エンジンが、総アクセス数72億5000万回、検索市場シェア97.5%で、マレーシアで最も訪問されているウェブサイトとして1位になっています。これは、マーケティング担当者が検索エンジンマーケティング(SEM)を通じてマレーシアのオーディエンスにアプローチする最適な機会を提供するものです。

Googleの広告ツールは、マレーシアのデジタルマーケティングで重要な位置を占めています。Google Display Network(GDN)も、マーケティング担当者が注目すべき強力なマーケティング戦術の1つです。このGDNによってGmail、YouTube、および数百万のウェブサイトを含むすべてのGoogleネットワークでディスプレイ広告を通じて2955万のマレーシアのインターネットユーザーに到達することができます。マレーシア全体のオーディエンスにアプローチして、ブランドの露出と効果を高めるための有効な方法と言えます。
 

続いて、ソーシャルメディア プラットフォーム

Googleに続くのは、YouTube、Facebook、WhatsAppといったソーシャルメディアプラットフォームです。
ソーシャルメディアはマレーシアの大多数の人々にとって不可欠なものとなっています。マレーシアのデジタル・マーケティングといえば、ソーシャルメディア・マーケティングは間違いなく取り組むに値するものです。

オンラインショッピングのプラットフォームであるShopeeも、総アクセス数が5億6,200万回と、頻繁に訪問されています。これらのプラットフォームは、オンラインでの存在感を高め、マレーシアの潜在顧客にアプローチしようとするマーケティング担当者にとって、間違いなく有効な接点となる可能性があります。
 

参考資料 マレーシアで最も利用されているソーシャル・メディア・プラットフォーム マレーシアでは、Facebook(88.7%)、Instagram(79.3%)、TikTok(53.8%)が、ライフスタイルやコンテンツの共有に関して、最も人気のあるアプリとなっています。コミュニケーションソフトでは、WhatsApp(93.2%)、Telegram(66.3%)、Facebook Messenger(61.6%)が他の類似プラットフォームを大きく引き離している状況です。
 

 

YouTube

マレーシアにおいてYouTubeの人気も見過ごすことはできません。最大のオンライン動画共有プラットフォームであるYouTubeは、2021年に最も利用されているソーシャルメディアプラットフォームとして、WhatsAppとFacebookを上回りました。

YouTubeのマレーシアでのユーザー数は2360万人で、これはマレーシアの人口の71.6%に相当します。コンテンツの種類としては、音楽、食べ物、ゲーム、美容のカテゴリがマレーシアのYouTubeで最も大きな伸びを見せています。特にエンターテイメント関連のマーケティング担当者は、YouTubeで存在感を示すべきでしょう。

 

フェイスブック(Facebook)

ソーシャルメディアのトップであるFacebookは、広告を通じて2,170万人のマレーシアのFacebook視聴者にリーチできる可能性があり、これは13歳以上の人口の最大82.4%を占めます。25歳から34歳の成人が最大のユーザーで、930万人以上です。
 

インスタグラム(Instagram)

マレーシア人は、アジア太平洋地域で最もアクティブなInstagramユーザーであり、潜在的な広告リーチは1,555万人以上で、年間11.1%のプラス成長を記録しています。Instagramはマレーシアの女性ユーザーに人気があり、業種によって異なるものの、広告利用者の60%近くが女性です。

マレーシアでは若年層ほど頻繁にソーシャルメディアを利用しているのですが、さらに興味深いことに、55歳から65歳のインターネットユーザーの半数以上がインスタグラムを利用していることも注目に値します。このことは、マレーシアの高齢者をターゲットとするマーケティング担当者にとって、新たなチャンスとなります。
 

TikTok

マレーシアでは、中華系の民族も多いため、アリババやLazadaなどの中国系プラットフォームを多く活用されています。
そこで、オンライン販売を行うデジタルマーケティングエージェンシーや企業も増えてきています。

そのなかでも特にTikTokがさらに大きく成長し、2022年にはマレーシアの広告主が自社のビジネスを促進するためのトップリストの座を確保する巨大な可能性に期待しています。 TikTokは、2021年にマレーシアで最もダウンロードされたアプリで、1,459万人以上のユーザー(18歳以上)が利用しています。

音楽、フィルター、エンターテインメント効果を使って独自のビデオを作成することができるため、マレーシアの若者の間で魅力的な存在となっています。TikTokは、マレーシアのZ世代とミレニアル世代の間で人気を博しており、16歳から24歳のユーザーが約半数を占めています。

最近のインターネットユーザーは、短い動画コンテンツを見る傾向があります。TikTokはそのニーズを取りこむことで急速に成長しています。この短編動画の分野でも熾烈な競争が続いています。例えば、Instagramは、30秒までの動画を共有できるリール (Reels)を導入しました。今後も短編動画の分野の成長は注目に値します。 マレーシアの若い視聴者層にリーチしようとする場合、TikTokは最適なソーシャルメディア・プラットフォームとなるでしょう。

マレーシアでは「サイレント」動画が次の大きな流行になるでしょう。今日、ますます多くのマーケターが、特に静かに見られるようにビデオを作成しています。 Facebookでは、85%もの動画が音なしで視聴されているという驚くべき結果が出ています。その理由は、最近の人々は、公共交通機関、混雑した待合室、教室など、どこに行ってもスマートフォンでビデオを見るからです。 したがって、ビデオ広告に投資することを計画している場合は、無音視聴用にビデオを最適化する必要があることを念頭に置く必要があります。
 

マレーシアにおけるデジタルマーケティングの機会

マレーシアのインターネットユーザーの大半は、欲しいものを調べたり探すときに、ソーシャルメディア、オンラインECサイト、検索エンジンを利用する傾向があります。そのため、マレーシアのデジタル・マーケティングを強化するために、効果的なデジタル・マーケティング戦略をいくつか紹介します。
 

マレーシアのソーシャルメディア・マーケティング

マレーシアのデジタルマーケティングの中核をなすのはソーシャルメディアマーケティングであることは、消費者が調べものや商品を調べるためにソーシャルメディアを第一に挙げる国であることを見れば明らかです。

マレーシアのソーシャルメディア市場は急成長しており、2022年には4億320万ドルに達する見込みです。さらに、マレーシア人の37%が、購入する商品を探すためにソーシャルメディアを利用しています。これらのことから、マレーシアのターゲットとなる視聴者にソーシャルメディアを通じてアプローチすることが不可欠であることがわかります。

消費者向けのブランドの多くは、FacebookやInstagramなどの人気のあるソーシャルメディア・プラットフォームに投稿やストーリーを掲載することで、ソーシャルメディア・マーケティング戦略を展開しています。

この戦略では、自社の製品やサービスについて定期的にアップデートし、ターゲットオーディエンスの間でコミュニティを育み、ブランドの認知度を高めます。ブランドは、ソーシャルメディアプラットフォームでのリーチを加速させるために、その分野で活躍しているKOL(Key Opinion Leader)と協力することもできます。

さらに、ブランドは、インボックス、チャットボット、ソーシャルメディアのコメント欄などを活用することが推奨されます。インスタントメッセージ機能は、マレーシアの潜在的な視聴者に到達し、交流するための非常に費用対効果の高いアプローチを提供します。実際、77%以上の顧客がチャットを好み、会話のコンバージョン率は一般的なソーシャル広告のそれよりも266%高いことが示されました。ブランドは今、顧客のニーズをサポートし、問い合わせを効率的に解決することで、よりパーソナルなレベルで顧客と関わる機会を得ることが可能となっています。
 

マレーシアの検索エンジン最適化(SEO)

マレーシアのインターネット・ユーザーは、毎年何兆回となく検索を行っており、その多くは製品やサービスに関する情報を探すために使われています。検索エンジン上でウェブサイトの可視性が高ければ高いほど、そのブランドは顧客を獲得できる可能性が高くなります。

検索エンジン最適化(SEO)によって、検索結果で上位に表示されることで、消費者はオーガニック検索を通じてブランドと出会う機会が増えることになるためです。 有料の検索広告とは異なり、SEOは広告費がかかりません。逆に言うと、オーガニック検索の上位表示を得るために検索エンジンにお金を払うことはできません。そこで、SEOのスペシャリストは、徹底したキーワード調査、顧客行動の分析、ページ内容の充実、バックリンクの追加などの対策を行っています。

広告キャンペーンを中止するとすぐに停止する有料トラフィックとは異なり、検索エンジンの結果ページでの順位確保に役立つSEOは、サイトに安定したオーガニックフローを継続的にもたらします。 このように、SEOは長期的に見ると費用対効果が高く、マレーシアの企業の間で継続的に実行されるデジタルマーケティング施策となることでしょう。
 

マレーシアのECサイト

もともとマレーシアでは物流システムの品質が悪く、実際、Amazonはマレーシアに進出することができませんでした。しかし、現在では物流システムや配送サービスが拡充してきており、オンライン・ショッピングの利便性が高まってきています。

eコマースはマレーシア市場でもその地位を確立しており、その予想売上高は101億2000万米ドルとなっています。マレーシアでは、欲しいものを見つける方法として、オンラインECサイトが人気です。オンラインECサイトといえば、Shopeeはマレーシアで最も訪問者数の多いサイトの一つです。

マレーシアの人々は、年間何十億ドルもeコマースに費やしています。モバイルフレンドリーなウェブサイトを開発することで、顧客はShopeeやLazadaなどのオンラインショッピングサイトで希望の商品を検索する際に、商品を見つけやすくなります。
 

インフルエンサーマーケティングはさらに大きく成長する

インフルエンサーマーケティングは、急速に進化を続けており、2022年以降も大きなトレンドになると考えられます。 パンデミックによって 2020年~2022年は多くの企業にとって困難な年であったとはいえ、インフルエンサーマーケティング業界にとって多くの新しい機会が生まれました。

より多くの企業が、ブランドの認知度を高めるために、地域のインフルエンサーやYoutuberとの協力の機会を求めるようになっています。評判の良いインフルエンサーは、信頼と権威を築き、ブランドがより多くのオーディエンスにリーチしてつながりを持ち、コンテンツ戦略を向上させるのに役立ちます。
 

マレーシアにおけるデジタルマーケティングの概要

マレーシアは、高いインターネット利用率と堅調な経済成長に支えられ、デジタルマーケティングの分野で非常に有望な未来があることを一貫して示してきました。マレーシアのデジタル市場で活躍するためには、ソーシャルメディアマーケティング、SEO、eコマースなどの戦略を検討する価値が特に高いと言えます。この魅力的な市場でデジタルマーケティングのパフォーマンスを最大化することを目指すなら、マレーシア デジタルマーケティングサービスをご覧ください。
 

参考資料  

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本記事はBridge International Asia Sdn Bhdがマレーシア現地の取材で得た情報をもとに作成しています。
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